2007年ドラマ『イ・サン』は履修済み。
相変わらずの韓国子役ちゃんの達者さには感心。なるほど、今作のヒロインは耐えるばかりの優等生でもないんだと前半グイグイ引っ張られる。
イ・ジュノとイ・セヨンの2人は魅力的で、話が進むうちに単純なラブロマンスドラマとは違うのだと訴えてくる。
この時代に女性として生きること、なかでも女官という立場の不条理さや非情さはよくわかるし、それは王妃キム氏であれ同様なのだという描写は良かった。
特に、側室になったドンノの妹や揀択(側室選び)の候補者が現代でいう小学生高学年か中学生くらいの少女であるところがリアル。
現代の倫理観では受け入れ難いので通常はもっと大人のキャスティングがされるところ、史実はこれくらいの年齢で入内させてたんだという映像のインパクトには身の毛がよだつ。
そもそも王妃キム氏自体、15歳(!)で祖父どころか曽祖父くらい歳の離れた英祖に後妻として嫁がされてるんやしね。
そんなリアルさとは真逆に
女官の秘密結社“広寒宮“にはちょっと失笑。めっちゃ強いですやん、女官の皆さん。
ドギムの顔から笑顔が消えてからが長く辛かった。彼女を通して伝えたい事を解ろうとしたけど本編では伝わりにくかったのかな。
せっかく強いシスターフッドで繋がった仲間や師匠がいたのだからドギムの内面を表現するためにもっとうまく活かして欲しかった。
世孫が即位するまでの薄氷を踏む日々は描かれてたけど、即位後王としてのサンの国作りの苦悩や駆け引きも見たかったかも。
掴みはOK(ハンサムでミソジニーな男性性の権化)だったホン・ドンノの使い方が後半勿体無い。
歴史劇に現代的な視点を盛り込んだ意欲作なので、伸び代はまだ充分ある気はします。ヒットしたということで今後に期待を持たせてくれました。