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ミズ・マーベルのbibooのネタバレレビュー・内容・結末

ミズ・マーベル(2022年製作のドラマ)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ミズ マーベルの「光」を操る能力に繋げてThe Weekndの「Blinding Lights」で始まる1話の冒頭から、かなりキャッチーな作りになっていて芸がめちゃくちゃ細かく、友達とのメールのやり取りを街の看板などに映してデザインしたり手書き風のあしらいが入ったり、まるでアトラクションような勢いが楽しい。画面の規格も細かく変わるし、上下左右180度動き回る激しく自由なカメラワークが、大型遊園地のCM見てるみたいな迫力で、そんなデカくないテレビ画面で見ていても圧倒された。だが、この芸の細かさと忙しさは最終回まで続くんだろうか…いや、続けられるんだろうか…と思っていたら案の定、3話あたりから一気にペースが落ちて、シリアスなシーンが増えたんだとしても1話冒頭の勢いは何処へやらといった感じになってしまった。最終回の6話でやっとテンポが少し復活したものの、5話くらいまでは失速しすぎて尺がそんなないのにも関わらず連続して見るのが若干きつかった。
ペース配分以外にも、情報量が多い上に新キャラが出てくるたびに設定説明がイマイチなところも多くて、翻訳字幕がある程度簡略化されているせいか?とも思ったけど、重要そうなキャラがあっけなく死んでしまったりするし、感情の回収も中途半端に感じてしまった。あと、あんなに序盤では過保護で過干渉な母だったのに終盤で突然見守りを緩めるし。それゆえ、何事?!の連続になるシーンもままあり、感情移入がほとんどできず。
敵の破壊力の設定もグラグラしてるように感じて、例えばクライマックスの捜査隊の波動銃みたいなやつは壁を粉々にするほど強力な描写があったかと思えば、人やチャリンコに当たった時は軽くこかしたりするだけだったりする。パワーバランスのチャンネルを細かく変えられるボタンでも付いてるんだと思いたい。そんなふうに一個気になり出したら芋づる式に全部気になって、敵となったやつ全員の攻撃方法もチープに思えてきた。
ここまで色々ごちゃごちゃ言ったけど、インドの分離独立の歴史が背景に差し込まれてたのを5話目あたりでやっと気づいて、そういうシビアなルーツの描写はハッとさせられたし勉強になってよかった。

新人のイマン・ヴェラーニは可愛いし、天真爛漫でおしゃべりな女の子のヒーローがマーベル内に渋滞してきた気もせんことないが、カマラ独特の愛嬌はアベンジャーズのエッセンスになりそうで良いなとも思う。
劇盤にインドのアーティストの曲が割と差し込まれてたり、選曲自体もインド・パキスタンがルーツの作品らしいノリと明るさがあって良かった。でも、次シーズンや劇場版がこの先あるとしたら、テンポやキャラの掘り下げなど、全体のバランスをもう少しどうにかしないと見続けるモチベーションを保てるか心配ではある。
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