身勝手な太陽

Dr. ブレインの身勝手な太陽のネタバレレビュー・内容・結末

Dr. ブレイン(2021年製作のドラマ)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

【イ・ソンギュン追悼④】

「Dr. ブレイン」

 雰囲気は臨死体験ホラー映画として知られる「フラットライナーズ」と似てますが、脳科学者コ・セウォンが研究しているのは、他人の脳波とのシンクロによって、思考や記憶などを共有する医療目的(倫理的にかなり微妙だと批判も受けている)の研究。
 二匹のマウスを使った記憶移動実験をしていたところ、記憶を送る側のマウスが死亡し、生き残った受け手側のマウスには記憶が移動していて、脳波のシンクロ率も最大となっていました。
 この結果により、セウォンは人間の遺体の脳(できるだけ新鮮な)を使った実験が可能かもしれないと考えて同僚と無断で実行した結果、実験は成功します。

 しかし、セウォンはすでに何者かの陰謀に巻き込まれており(その陰謀を企てたのが誰なのかは第1話に登場してて、この人だろうなってすぐわかるのが残念)、それによって実験遺体1体目にはパク・ヒスン演じるイ・ガンム(元警察官の調査員)が選ばれる事になった(「顔面の損傷が激しい」の台詞に注目)のですが、それ以降、イ・ガンムはセウォンの脳内に居座り続ける脳内アバター化し、セウォンに危険が迫ると的確なアドバイスをして助けたり、すでに亡くなっているのに、実体があるかのようにセウォンの前に現れるようになります(イ・ガンム本人が死んだ自覚が無かった事と、セウォンの目には実体として見えていた事もあり、女性刑事ジウンからイ・ガンムが「4日前に死亡した」と知らされてようやく気付き、その後セウォンはイ・ガンムにもその事実を伝えてます。このあたりが時系列を少し複雑にしてますが、意味がわかると笑えますね)。

 そもそも、記憶転送実験の受け手側をやれるのは特殊な脳(通常の脳より海馬の大きさ2倍、偏桃体4分の1以下)を持ったセウォンだけですが、それでも副作用や幻覚、いきなり出てくる死者の記憶に苦しみますし、性格や嗜好の変化も起き、さらに危険度が高そうな「人ではないもの」の遺体にもシンクロしたあたりから、瞬間的に超人的な身体能力を発揮してみたりと、なんだかもう方向性が混乱の一途をたどり、何でもありになってきます。
 それでも、事件関係者の死体が次々と出る毎に脳波シンクロを繰り返して手がかりを探し、ドヨンとヒジンを助けるために奔走する父親らしい姿が良いんです。

 ちなみに「Dr. ブレイン」はシーズン1で終わりそうな雰囲気。
韓国芸能メディアのKstyleによると、シーズン2の制作を協議してたようなのですが、その報道によれば「制作中断はイ・ソンギュンの薬物疑惑とは無関係であり、既に脚本執筆の段階で制作進行が曖昧になったという。」理由だとの事。
 実際、シーズン1の全6話を見終えても、粗が目立つ作品だという気がしますね。
 まあ、この記事の段階では薬物使用疑惑報道は既に出てましたが、その後の韓国警察による複数回の薬物鑑定では一度も陽性判定は出てないのですから、ソンギュンさんは薬物は使用してないとしか言えないはずですし、それを追い詰めて死に追いやった事は許すべきではないです。

 「Dr. ブレイン」も、第6話の終わり方ではシーズン2を期待するのは難し過ぎると言わざるを得ません。
 ソンギュンさんが亡くなったので、続編が出ても観る意味も失せている気持ちを今も引きずっています。
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