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悪の心を読む者たちのsumiのレビュー・感想・評価

悪の心を読む者たち(2022年製作のドラマ)
5.0
韓国で初めてプロファイラーとして活躍した人たちの物語は、実在するモデルがいることもあってかドキュメンタリーかと思うほどの完成度。感情表現は乏しいけれど誰よりも共感力に優れるソンハヨンを演じたキムナムギルの演技力よ…。表情をほとんど顔に出さない代わりに犯罪者に対する怒りや遺族に対する慈しみを目で表現していたのが印象的。そして、このドラマの核となる連続殺人犯との対話は演技と分かっていても胃がキリキリするほど気持ち悪くて。「あの子は運が悪かっただけ、あの場所にいるのが悪い」「長生きしてもっと人を殺さなきゃ」「俺があいつらの命を握っている」悪びれもなくのたまう怪物たちの言葉がハヨンの頭の中を駆け巡るシーンではわたしも精神ヤラレた…(ナムギル出演の旅番組を途中挟みながら見たほど。笑) 彼らの演技なくしてこのドラマは語れない。韓国俳優のレベルの高さを改めて実感。
かの有名な"深淵を覗く者は…"の言葉通り、悪の心に入り込むあまり徐々に我を失っていく様子は「マインドハンター」でもあったけど、プロファイラーという職がいかに善と悪ギリギリの場所に立ち神経をすり減らす仕事なのかも描かれていて興味深かった。今では当たり前に韓国サスペンスに登場するサイコパスも2000年代序盤でやっとその存在が知られるようになったのも面白い。
暗く重く救いがない中で仲間たちとのやりとりやほっこり温かいエピローグだけが癒し。ストーリーへの没入感と見終わった後の充実感は格別でした。

+☻ キムナムギルとチンソンギュ、そして原作者のクォンイリョンがドラマの裏話を語っている番組がYouTubeにあったので後日談として楽しめました。そしてNetflixドキュメンタリー「レインコートキラー」を見ると、このドラマが実在の事件にいかに事実に沿って作られたかを知り残忍さに絶句。ぜひ併せてどうぞ。
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