のぞみ

二十五、二十一ののぞみのネタバレレビュー・内容・結末

二十五、二十一(2022年製作のドラマ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます


なにか韓国ドラマが観たいなぁとおもっていたときに、せつない曲に出会い、この作品に出会いました。
音楽、カメラワーク、どれもすてきで虜に。
韓国ドラマはほんとオシャレ。

観終わってから結構経ってしまったけれど、未だにあの熱をおぼえている。
ノートに書いた感想を読みながら涙がこみ上げてくる。
こんなにもたいせつな作品になっていたんだ、あたしのなかで。その存在に気づいた。
音楽もどれもよくて未だによく聴いている。
your existenceが特にすき。

おもいだすだけで涙がこみ上げてくる。
あの結末しかないけれど、願わくばとおもわずにもいられないヒドとイジンの恋。
こんなにも青春してる作品はひさしぶり。
「この夏は私たちのものよ、あの年の夏は私たちのものだった」にすべてが集約されている。
あたし自身、振り返るとあの時代はあたしたちの時代だったとなつかしくおもうときがある。
激動の時代、本人たちの意思とは関係なく起こる出来事はかなしいこともうれしいことも彼らの人生を大きく揺さぶる。
そんな時代だから出会えたひともいれば、そんな時代だったから失わったものもあって、人生ってうまくいかないなぁって。

前半と後半では印象がガラリと変わる。
ユリムに憧れていたヒドが、ユリムに嫌われるというかなしいことに。
ヒドはいつだって、フェンシングにまっすぐでそのまっすぐさをユリムはおそれていて、ふたりの仲はずっとギスギスしたままだったけれど、互いの正体を知ってからのラブラブっぷりはほんと今までのギスギスがなんだったのだろうとおもうくらいの熱量。
あの相手が互いだと知ったときのおどろき。ミスリードを誘い、だれが相手なのかわからなくしていただけあって、ほんとにだれかわからなかった。
仲良くなってからのふたりは、ほんとよきライバルで親友だった。どんなときも駆けつけたすけてくれるヒドはヒーローのようで、ユリムがだれよりも信頼してることがつたわってきた。
後半のユリムの話はつらかった。家族のためにいつもがんばっているユリムの努力を世間は受け入れてくれない。壁の中傷を消すヒドのつよさが眩しかった。

5人の友情もよかったなぁ。
これぞ青春ってかんじで。
それぞれ、かなしいことつらいこともあったけれど共に乗り越えていく仲間やパートナーになっていて。



そして、ヒドとイジン。
出会いから別れまで、ジェットコースターのように激しくて、この恋は一生になんどあるかわからないような特別な恋なのだなとおもった。
互いがだいじだから離れたような、つらいときに出会い、友情なのか恋なのかわからない距離感で関係を築きながら恋へと発展した関係はまたしても時代に翻弄され、それぞれのターニングポイントともぶつかり、互いの声が届かくなっていくさまはせつなく、どうしようもない男女の別れなのにとてもつらく、涙が止まらなかった。


2話
「時代のせいなのにしあわせも諦めるの?」
「こっそりしあわせになるの」
水道の蛇口だけであんなにはしゃげるのが眩しい。
「ふたりのときは、だれにも内緒ですこしの間しあわせになろう。ふたりだけのひみつよ」

あの蛇口のシーンは特に印象的。
一緒に逃げるあの共犯なかんじとか。
ふたりだけのひみつ、ふたりだけのしあわせ。
ヒドとイジンは特別だったとおもわされる。

5話
「どこにいてもあなたに届けてあげるから」
ひとりで蛇口を上に向けるイジン、おなじ雪をみてるヒドもまた蛇口を上に
「会いたかった。顔を見せてくれたから会えたよ。だから、きょうは笑った」
ほんとうは手を取って、連れ出したい。
「15巻より先に顔を見せるよ」

6話
指でつくったフレームのなかにヒドが
デモ行進の中に飛び込んでヒドをさがすイジン、イジンをみつけるヒド
このシーンもすきすぎる。

14話
「どこにいてもあなたに届けてあげる。私がいくから待ってて」
この物語のなかでいちばんかっこいいのはヒドなのだなぁと再確認する。
ヒドの全力で信じたり、ぶつかったり、受け止めたりする姿が頼もしかったし、かっこよくて、力をたくさんもらった。
それにしても、ほんと14話はつらいことが多すぎた。

15話
「命は尊いんだ。生きてる俺たちは悔いなく愛そう」
記者として忙しいイジンとのつきあいはなかなかうまくいかない。それでも会ったときのふたりが全力で愛を表現しあう様はかわいらしく、心地よかった。

16話
「この愛は、私の力にならない」
ヒドのようにちゃんと言葉にしてつたえられるのはすごいことだ。
その通りすぎることばがつらすぎた。

「言ってあげたい言葉が他にあったのに」
裏腹な言葉がこぼれた。
それは心の奥に隠した本音でもあって、ふたりで解決すべき問題でもあった。
ベストを尽くしてるつもりでも試行錯誤の連続で
夢の中でニコニコと笑いながら「ペクイジン」と駆け寄ってくるヒドをだきしめたい、会いたい、離したくなかった、一緒にいたかった、つらすぎて涙があふれた。
イジンの記憶のヒドはいつもニコニコしててかわいい。

失くしたヒドの日記が届けられるのはイジンのもと。
うまくできているなぁ、物語が進んでいく。
ヒドの日記をイジンに読ませることで、彼は自分のしてきたことをヒド目線で知っていく。
だからこその「俺たちはこんな終わり方をしてはいけない」「あんな言葉で別れちゃいけない」
恋愛においての共通言語、ふたりにしかわからない想い出。
互いに苦しむのはやめようとだきあうのよすぎる。

「自分を信じられないとき、私を信じるあなたを信じた」
「俺を笑顔にさせた。ふたりだと何もなくてもすべてを手に入れた気分に」
「一緒にいるだけですべてが完璧だった」「完璧なしあわせがなにかわかった」
「あなたに愛を教わり、別れとはなにかを学ぶ」
「お前の愛のおかげで、俺の人生はありえないほど輝いたよ」

「すべてが手に入ると信じていた。多くを手に入れたかった。愛も友情も手に入れたと錯覚してた」
「振り返るとすべてが試行錯誤の日々。永遠だと言い張った瞬間、私はその錯覚がすきだった。それでも手に入れたものがひとつはあった」
「この夏は私たちのものよ、あの年の夏は私たちのものだった」


「愛と友情がすべてだった頃、そんな時期は人生でほんの一瞬だ」
「騒々しい友情と熾烈な愛を、その一瞬こそが長い人生を輝かせるから」
のぞみ

のぞみ