このレビューはネタバレを含みます
小さな理髪店での人生の変わる
ひとときを描いた作品。
1人の若者が理髪店を訪れることから
物語が始まるんだけど
この理髪店に関わりのある
若者だとわかりやすすぎるかと思いました。
もう少しこの若者が良い人間か否か
目的がわかりにくい感じだと
緊迫感と最後の方の感情が
昂ったかと思いました。
ただそこまで感情の起伏をさせない
という狙いがあったのかなとも思います。
何度も挿入される海の波が
静かにやさしく寄せるように。
柄本明さんの演技が素晴らしい。
1人の男の醜さや虚栄心、
消えない後悔を繊細に表現していて
時に怖さを感じるほど。
それでいて嘘がつけない男でもあることを
些細な仕草で感じさせてくれます。
最後、髪を確認するといいながら
軽く頬に触れずにいられなかったところが
演技でしか表現できないと思いました。
もちろん犯した罪が許されるわけでもないが
彼が他人然とした態度を通したこと
息子への最後の贈り物をちゃんとできたこと
それは良かったと思います。
最後に動き出した回転灯は
親子の動き出した人生を
写しているようでした。
共に仕事をしていた方が本当に可哀想。
やってることも言ってることも
全く間違っていなかったのに。
ただ図星なことをあまりにも
ストレートに言い過ぎた。
