ShinMakita

ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男のShinMakitaのレビュー・感想・評価

3.8
時代が1960年代から1970年代へ移り変わろうとしていた頃…

軍のシンクタンクでコンピュータプログラミングをやっていた青年アルバート・ラディは、友人に連れられていったパーティでハリウッドの関係者たちと親しくなった。映画マニアであるラディが彼らに「第十七捕虜収容所」のコメディ版があれば面白いのに、と話すと、アイデアを売り込んでみればと勧められた。ということでTV局CBSに持ち込んでみたところ、なんと番組制作が決定してしまう。ヒット番組「0012捕虜収容所」誕生の瞬間であった。しかしラディには、何より劇場で観る映画にこだわりがあった。彼は意を決して、パラマウントに自らを売り込みに向かう。

ラディの熱意を買って新人プロデューサーとして雇い入れたのは、問題重役ロバート・エヴァンズだった。朝から酒をかっくらうわ、ジジイ重役たちの反対を押し切って恋人のマッグローの主演作を勝手につくるわで財務部からは受けが悪い男だ。「ローズマリーの赤ちゃん」は当たったけど、既にその貯金も底を尽き、正直パラマウント自体が沈みかけている。ラディに任せた「お前と俺」もコケてしまい後が無い状態だった。そんなエヴァンズが、売れない作家マリオ・プーゾの書いた小説を出版前に読んで、1万の安値で買っといた映画化権が突然脚光を浴びる。この小説がいきなりベストセラーになってしまったからだ。ワーナーから100万で映画化権を売ってくれとオファーも来て、これはカネになると踏んだエヴァンズは、低予算製作のセンスがあるラディをプロデューサーに任命。400万の予算で映画を作れと厳命する。早速ラディはコッポラというマイナー監督を説き伏せ、プーゾとタッグを組ませて脚本作りに取り掛かる。しかしその頃、ニューヨークのイタリア・マフィアの間ではこの小説を問題視する動きが出ていた。「委員会」に加入して正式にファミリーを持つことを許されたドンのジョー・コロンボは、映画製作を妨害するためLAのギャング、ミッキー・コーエンに仕事を発注し……



撮影交渉でやってきたニューヨークで、脅しをかけてきたコロンボと何故か意気投合したラディ。ガチのマフィアを味方につけたことで自信をつけたラディは、コッポラとロケハンもこなしてLAに戻る。しかしエヴァンスはそんなラディと大衝突。コッポラの脚本を読ませない、勝手にパチーノとかいう無名役者を主役に据える、などなど癇に障ることだらけなのだ。上司と揉め、恋人フランソワーズとも喧嘩して悩むラディ。だが一つの吉報が潮目を変える…あのブランドの起用にゴーサインが出たのだ。




「ジ・オファー」5話まで視聴。
前半は、プリプロダクションです。



ハッタリと度胸で映画会社に飛び込んだ若手プロデューサーと、やりたい放題やりながらヒット作品の匂いは逃がさない破天荒重役。2人が挑んだ起死回生の一本が、そう『ゴッドファーザー』です。これは映画ゴッドファーザー製作の秘話。エヴァンズ役は、品の良いヒュー・グラントみたいなマシュー・グード。ラディ役はマイルス・テラーです。予算は無い、脚本作りは進まない、マフィアに脅され、キャスティングも難航、親会社からは横槍が……果たしてゴッドファーザーは撮影できるのか⁈ という興味もあるけど、当時のリアル・マフィアたちのドラマも面白く、映画マニアじゃなくても楽しめるツクリです。シナトラ、レッドフォード、コッポラのそっくりさんも存在感がありました。そしてマリオ・プーゾが完全にコメディ・リリーフになっているのに爆笑です。


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エヴァンズと和解しアル・パチーノ出演が決定、親会社ガルフ+ウェスタンから追加予算200万ドルも手に入れたラディ。コロンボとの付き合いを深めたことでイタリア系議員たちの撮影妨害もやめさせて、ついに撮影開始に漕ぎ着けた。しかし調子に乗ったコロンボがラディを連れて記者発表をしてしまい、パラマウントとガルフ+ウェスタンはマフィアと繋がりがあると報道されてしまう。怒りが頂点に達したガルフ+ウェスタン会長チャーリー・ブルードーンはラディを解雇してしまい、コッポラはプロデューサー不在の中で撮影を進める羽目に…


エヴァンズの奔走でパラマウントの売却は白紙に戻る。そしてコロンボの圧力でラディがプロデューサーに復帰。撮影は順調に進むように見えたが、またまた問題が持ち上がる。チャーリーの部下たちがパチーノのおとなし過ぎる風貌に「ドンの器じゃない」と言いだし、水面下で代役探しを始めたのだ。エヴァンズは妻アリが出るペキンパー映画のロケを見舞おうとテキサスに向かうが、あろうことか妻とマックイーンの不倫を目撃してしまう。そしてコロンボは、敵対ギャング・ギャロとの抗争激化で窮地に陥っていた。さらにギャロの魔手はラディの元へと…





「ジ・オファー」#6-10




いよいよ撮影開始の後半。コルレオーネ家セットの再現度、ルカ・ブラージ役採用の顛末、タリア・シャイアの受けた暴行をジェームズ・カーンで復讐するなど、ゴッドファーザー好きには見逃せないポイントが多いです。劇中のコッポラは横暴ながらも可愛さ満載(笑)。パチーノ役の演技も素晴らしく、ソロッツォ抹殺後の顔は鳥肌モンです。コロンボのドラマが絶妙に「ゴッドファーザー」とリンクするのも面白いところ。もちろんゴッドファーザーだけじゃなく、「ペーパームーン」や「チャイナタウン」にも言及。ハリウッド内幕モノとしても見どころ満載でございました。
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