角が立つ造

30までにとうるさくての角が立つ造のレビュー・感想・評価

30までにとうるさくて(2022年製作のドラマ)
1.0
山田太一監督の『思い出づくり。』を観たあと、設定が似ていることから再度鑑賞。
名作と比べてしまうのは酷だが、様々な点で比べてしまった。

まず、女性目線のドラマとはいえ男性に対する扱いが優しくないと思った。
精子ドナーの方は確かに悪いことをしたけれど、そうせざるを得なかったとか、男性側の弁解などが何もなく、ただ一方的にスカッとジャパンするのはどうなのか。
相手側の意見を聞く前に一方的に叩くことが当たり前の風潮ができてしまったら良くないと思う。
はるかさんは欲望のままに彼氏を振り回していたが、わがまますぎやしないだろうか。
女性の自立がテーマなのはわかるのだが、だからといってわがまま放題していいわけでも、浮気していいわけでもない。
これが現代のリアルなのだとしたら同じ女として恥ずかしい。

根本的な問題としては、登場人物がただの記号としてのみ存在しており、人間性や心の中を深掘りしていないため生きているように感じないという点だ。
流行りのテーマで駒が動く人形劇を見ているような気分だった。
そもそも私のような人間はこのようなドラマのターゲットではないと理解した。

ただ、80年代の『思い出づくり。』のほうが多様性が認められているように感じてならない。
角が立つ造

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