角が立つ造

想い出づくり。の角が立つ造のレビュー・感想・評価

想い出づくり。(1981年製作のドラマ)
5.0
これはとんでもなく素晴らしい作品。
こんなに面白いドラマがこの時代にはあったのか。
2022年の『30までにとうるさくて』と設定が近いため見比べたが比べ物にならないくらい面白い!そして優しい!
ちなみに当方平成生まれです。


褒めたいところは数えきれないが、覚えている範囲で挙げよう。
・人物ひとりひとりがただの駒ではなく、生きた人間として行動しているように思わせてくれた。
・自立を目指す女性目線ではあるのだが、序盤に「嫌な奴」だった男性陣も最終的には別の一面を見せ、それがとても優しさをもって描かれていた。
・完全な悪役、完全な正しい人間がいない。
・物語の進行上、一見必要ではないと思えるシーンがよく登場するが、それが登場人物の人間性に奥行きを与えている。(細かい仕草、足元のみを写すカット、意味不明な行動などの描写が素晴らしい。)


山田太一監督は人間を優しい目線で深く観察しているのだろうなと思った。
どんな生き方も、誰かからは悪だが、別の誰かからは正しい。
最近の、頭ごなしに家父長制を生きた人達を避難するようなフェミニズムに、過渡期だから仕方ないと思いつつ疑問を抱いていた私にとって、本当の意味での多様性とは何なのかを考えさせられた作品だった。
角が立つ造

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