梅ちゃん

火神の涙の梅ちゃんのレビュー・感想・評価

火神の涙(2021年製作のドラマ)
4.0
奇跡の救出劇など描かれない。
其処にあるのは如何ともし難い現実。

台湾の消防官達の置かれた過酷な状況を具に描いた、〈悪との距離〉プロデューサーによる社会派ヒューマンドラマの逸品。
使命に命を懸けるプロフェッショナル達の誇りの物語。
45分×10話🇹🇼

―――ある現場で―――
大家『燃えてっからドア壊して突入しろ』
消防官『いえ許可がまだ…』
大家『ドア壊して突入しろ』
消防官『いえ、ですから許可が…』
大家『いいから行け』
消防官『分かりました』
ドカーン💥🚪
消防官『燃えてませんね』
市民『ドア弁償な』
消防官『えっ?』
市民『慰謝料もな』
消防官『えっ??』
上官『なぜ許可を待たない』
消防官『えっ???』
上官『自腹な』
消防官『えっ????』
妻『仕事と家庭、どっちが大事なの?』
消防官『…』

―――別の現場で―――
市民A『ドア壊して中見て』
消防官『いえ、許可がないと…』
市民A『いいから行け』
消防官『許可がないとマズいんですって』
駆けつけた市民B『なぜドアを壊さない?』
鍵ガチャ
中に死体
メディア『人命軽視!』
メディア『税金泥棒!』
メディア『お役所仕事!』
妻『仕事と家庭、どっちが大事なの?』
消防官『…』

これは一つのエピソードに過ぎない。
理不尽極まる状況の中、ただ懸命に使命に身を捧げるプロフェッショナル達の崇高なる姿が胸に迫る。
救助者達からの細やかな感謝の想いが彼らをギリギリ立たせていることもまた切ない。

物語は大きな問題提起で幕を閉じる。果たしてフィクションの割合はどの程度であろうか。台湾の現実と登場人物達のその後の物語に、つい想いを馳せてしまう。

【キャストについて】
〈悪との距離〉被害者父
〈1秒先の彼女〉おっとり彼氏
〈模倣犯〉女性記者
分かる…分かるぞッ!😳