takashi

エルピス—希望、あるいは災い—のtakashiのレビュー・感想・評価

4.2
とある山で起きた連続少女殺人事件について、犯人とされた死刑囚の冤罪の可能性と真犯人への真相をめぐるマスコミと権力者たちの闘いの物語。

アシスタントディレクターであり金持ちの家で育った岸本は夜中の深夜バラエティ番組を担当しており、そこで演者であるアイドルを口説こうとしていたところをアシスタントにバレてしまう。
アシスタントは秘密にする代わりにある事件の真相を調べるよう依頼され、岸本はしょうがなく調査を開始。

そのバラエティ番組はかつてはゴールデンタイムの報道キャスターを担当していたものの、局内のスキャンダルをバラされ左遷された浅川や、かつては同報道番組のディレクターを担当していたがとある報道をめぐり同じく左遷され、今やバラエティ一色に染まった村井など事情を抱えた者たちがいる。
殺人事件の真相をたどることで彼らを巻き込みつつ事態が徐々に大きくなり、事件の背景には巨大な権力者が見えてくることなる。

実際の日本社会でもまさに話題となっている、権力からのマスコミへの圧力の攻防、圧力を背景にした忖度などマスコミの報道への姿勢に切り込んだ斬新なテーマだった。

日本のドラマらしく大げさな演技は若干気になるものの、テレビ局だけでなく、権力サイドにも正しくあろうとする人たちの葛藤が垣間見え、ラストの権力者でありかつての同士でもある相手との対峙と交渉は鬼気迫るものがあった。
takashi

takashi