友ニ

エルピス—希望、あるいは災い—の友ニのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

 どうしてもフィクションには見えない。現実世界とオーバーラップして観てしまいます。
 おもしろさに途中止められず全10話一気観。
 地上波で、よくぞここまで描いてくれました。
 
 冤罪事件が次第に権力の闇を暴いていくありがちな展開ではありますが、粘り強い調査取材とそれをあの手この手で握り潰そうとする組織のせめぎ合いは見応えがありました。

 誰も傷つかないと見るや、乗っかって煽りまくるマスコミの不誠実さと政権への忖度は近年目に余ります。
 最近の例で言えば、緊縛強盗をはじめとした一連の特殊詐欺。視聴者の不安をさんざん煽って数字を取ろうという魂胆が見え見えです。
 対して、和歌山での首相襲撃の容疑者に関するニュースはまったくやりません。模倣犯が出るのを恐れているのか分かりませんが、これが政権への忖度と言わずして何と言いましょう?

 毒にも薬にもならない大手メディアの色つきの忖度ニュースなど見るに値しませんが、そのことをあらためて実感させてくれた作品です。
『忖度ではなく配慮。』
 そうやって上の意向ばかりを気にして、己れの保身にだけ汲々とする組織の実態がよくわかります。
 
 ストーリーに関して、わりと早い段階で真犯人への目星が付いてしまうのが、ちょっと興醒めです。犯人探しが主題ではないとはいえ、もう少し引っ張ってほしかったですね。別に登場させなくても良かったのではないかとも思います。

 大事なことは、この流れをこの一作で終わりにしないことでしょう。他局でも是非作ってほしいです。こうした骨のある社会派作品を誰でも無料で観られる地上波で放映することに意義があるのですから。
友ニ

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