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三体のskのレビュー・感想・評価

三体(2023年製作のドラマ)
5.0
原作の大ファンなので一抹の不安も感じつつめちゃくちゃ楽しみにしてた。

三体の醍醐味は何と言っても、壮大な宇宙スケールを描くマクロな話と登場人物の心の機微を描くミクロな話が両立しており、かつそれぞれが非常に精巧である点だと思っている。

そうした観点で言うと、個々人の思考の変化や作戦の立案に係るプロセスが省略され、多少天下り的にストーリーが進行してしまった感は否めない。
ただこれはあのスケールの話を全8話にまとめようとしたらやむを得ない問題だし、むしろかなり上手くまとまっていたと思う(中国版ドラマ三体は原作に忠実すぎる余り話数が膨れ上がっていたので尚更)。

良かった点としてまず、単一のプロット上に(名前や設定は多少異なるとは言え)葉文潔・汪淼・史強・羅輯・程心・雲天明などの主要人物を矛盾なく配置出来ていたのはすごい。見た目で判断できない分、お前が〇〇だったんかい!の連続でとても楽しめた。

加えて、高クオリティでの映像化もテンション上がった。智子の次元展開・人間コンピュータ・飛刃など、本読みながらワクワクした箇所が忠実に再現されていて、非常に良かった。

最後に、これは良い点でも悪い点でもあると個人的に思っているのだが、原作に漂うある種の童貞感が失われていた。西洋風で"綺麗"なビジュアルは映像化する上で重要なのだろうけど、原作中で活躍する人物(羅輯や雲天明など)の動機は愚直な恋心や思慕であり、それ故に一見ぶっ飛んだ話も地に足着いたものになっていると個人的には考えている。

色々書いたが、いちドラマとして非常に面白いし、何よりも大好きな作品がNetflixで観れるようになったのが嬉しいので初の評価5.0。次回作がもしあれば(多分難しいだろうけど)、どういう風になるのか非常に楽しみ。
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