kagohara

罠の戦争のkagoharaのネタバレレビュー・内容・結末

罠の戦争(2023年製作のドラマ)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

なかなか面白いです!

ストーリーの推進力となる謎解きの要素や伏線はかなりありましたし、起爆剤となる草彅剛の演技や人間関係のセッティングもうまかっただけに、後半の失速感は勿体無いですね。
後半では発端となる事件の犯人が分かって捕まるので、目的は達成されます。
かわりに政治の世界の戦いに巻き込まれます。
そこからは闇堕ちしていくのを見て、最後にまたゼロからスタートっていうお決まりのパターンでした。


映像的な美意識はあまり感じられないが、第一話なんかはカメラワークでユニークさを出している印象だったので、もっと時間があればよかったのでしょうか?俳優の演技は上手い下手は分かりませんが、かなり良くて、中でも井川遥の演技はキャリアでもかなりの好演ではないでしょうか?小野花梨と杉野遥亮コンビもハマってて素敵でした。気になったのは水川かたまりくらいでしょうか。宮澤エマも芸達者なわけではないと思うのですが、不思議な存在感を放ってました。

引き延ばされたマサトとの因縁も使ってくれたし、犬飼の最後の姿も何か思わせぶりで良かったです。


このドラマの最終回を見ていて思い起こしたのは社会学者の宮台真司の言葉でした。彼は災害ユートピアという考えから着想を経て、完全に沈み切ってから出ないと日本は再スタートできないと唱えており、まさに竹藪を全滅させる破壊的な人物の登場としてトランプやアベスガ政治をより長く続けてほしいと言っていました。最近話題の成田悠輔や斉藤幸平もある意味ではこの考えを肯定しているように思えます。既存のシステムの延命処置はあまりに非効率的で、効率的な経済力による再出発か、消費社会という枠組みを壊す再出発かを解いていて、もはや今のシステムは年金制度ひとつとっても破綻してます。たぶん、延命処置の中で最善の方法を取ったのが「エルピス」だったなら、こちらは徹底的に壊してやるというものでした。こんな破壊願望的加速主義者が現れてくれることを願います。
岸部一徳演ずる二階幹事長らしき人は現実ではいまだ現在ですし、彼が擁立した野田聖子は実際には祖父の地盤を受け継いでいるから現実の方がよっぽどタチが悪いので、多分ほんとに草彅剛がやっていた鷲津を超える天才的に頭のおかしい人が出てこない限り無理でしょと思ってしまうけど、この国はほんとに落ちるところまで落ちないと目が覚めないのでしょう。
kagohara

kagohara