めしいらず

すいかのめしいらずのレビュー・感想・評価

すいか(2003年製作のドラマ)
3.5
荻上作品でおなじみの個性派の面々が総出演しているのがまず印象的。あちらをほんのちょっとだけ宙に足が浮いたシュール感とするならば、こちらはふわふわしながらも一応は地に足が着いているくらいのリアル感と言おうか。ボロ下宿”ハピネス三茶”に住まう管理人と3人の間借り人、そこに出入るする人々の日常。様々な年代、様々な立場の一人ひとりがそれぞれに感じている人生の閉塞感。如何にも実際にありそうだったり、とてもなさそうだったりな諸問題。「20年先でもいまでも同じなんじゃないかしら。自分で責任を取るような生き方をしないと、納得のいく人生なんて送れないと思うのよ」と主人公に語り聞かせる教授。そんなその場のつながりを通じて彼らが己の人生を見つめ直し、傷ついたり癒えたりを繰り返しながら、人生の地歩を少しずつ固めていく。非日常に飛び込んでいった同僚だからこそ梅干しの種に見つけられた何でもない日常生活のかけがえなさ。それに応えてちゃんと日常を選択する主人公。知らず肩に力が入ってしまっている毎日を程よく息抜きさせてくれる独特のヒーリング効果。もしこんな場所があるのなら間借り人になってみたいと誰もが思わずにいられないだろう魅惑。お話自体は割と平坦なのだけれど、ディテールの丁寧な描き込みが彼らの人となりを魅力的に肉付けし、この続きの人生を見ていたいとまで思わせる。良質なドラマとはまさにこれ。善き哉。
みんな素敵だったけれど、やっぱり小林聡美、市川実日子、もたいまさこ、片桐はいりの独特な存在感は他では代え難い。
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