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麒麟がくるのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

麒麟がくる(2020年製作のドラマ)
4.6
時は室町時代末期。
将軍家を補佐するはずの管領たちの権力争いと、足利家の内紛により、幕府は弱体化、国内は混乱を極めていた。
代々守護の土岐氏が支配していた美濃でも、幕府の衰退とともに新しい勢力が台頭しつつあった。
そんな美濃の国境にある自然豊かな明智荘に生きる、まだ何者でもない一人の青年、明智光秀(長谷川博己)。
ある日領地を荒らす野盗を撃退した際、光秀は民を戦乱の苦しみから解放したいと強く願う一方で、野盗の頭領が持っていた鉄砲という見たことのない武器に興味を持つ。
外の世界を知り、美濃がどうあるべきか見定めたいと、光秀は主君・斎藤道三(本木雅弘)に掛け合い、ある約束と引き換えに鉄砲がどういうものか探る旅に出る。
光秀は、松永久秀(吉田豪太郎)や羽柴秀吉(佐々木蔵之介)などの武将と出会う中で、「戦のない大きな国」を作ろうとする使命に目覚めていく。そして光秀は、彼の運命を大きく変える織田信長(染谷将太)に出会う。
今回の大河ドラマでは、あまり明らかになっていなかった明智光秀の前半生、織田信長との関係、「本能寺の変」の謎を、近年の研究を下に、他の大河ドラマでは描かれることが少なかった松永久秀が大切にしていた茶釜「平蜘蛛」に関わる騒動、天皇譲位、織田信長が重臣を次々に追放した訳、織田信長が足利義昭と決裂した理由、そして「本能寺の変」について、明智光秀の目線から描かれていて、明智光秀を慕うお駒(門脇麦)や伊呂波太夫(尾野真千子)ら大衆の目線を織り込む展開が、新鮮だった。
斉藤道三から受け継ぎ、織田信長と明智光秀が育んだ「大きな国」の理想が、織田信長と明智光秀の主従関係や友情が変化してしまう展開は、ブロマンス要素があり、最後まで愛を求めてピュアなまま狂気に堕ちる新しい織田信長像も、急遽交代した川口春奈が演じる帰蝶は織田信長の内助の孝以上のプロデューサー的な有能な奥方像も、新鮮で良かった。
コロナ禍の影響で大規模な戦シーンがスケールダウンしたり、端折っている部分があるのは残念だが、マンネリ化していた戦国ものの大河ドラマに新たな切り口で描いた作品として楽しめた。
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