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虎に翼のioのネタバレレビュー・内容・結末

虎に翼(2024年製作のドラマ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

マイベスト朝ドラをぶっちぎりで更新しました…。

これは期待できる!と思った第1話から、半年間、毎日が楽しみで、この作品がNHKの朝ドラとしてお茶の間に届けられているという事実が、社会の希望として感じられる、そんな日々でした。本当にありがとうございます…。

オープニング曲も映像も素朴な雰囲気なのに力強くて大好きで、普段のドラマでは早送りしちゃうけど、何度でも楽しめた。

本当に素敵な朝ドラだったので忘れたくなくて、自分用の備忘も兼ねて、毎週ごとレビュー書きました。

第1週
「頭のいい女が確実に幸せになるためには、頭の悪い女のふりをするしかない」
振袖が六法全書となり、清々しく地獄への切符を手にした寅子。名作の予感しかしない。

第2週
「罠だよ。結婚って罠。結婚すると女は全部男に権利を奪われて離婚も自由にできないって誰かに教えてもらった?教えてもらってないよね?」
法を学ぶ女性たちが集団で裁判所の階段を上がっていく。その画だけで、泣きそうになっちゃった。法科の女性一人一人にも、道ゆく見知らぬ女性一人一人にも、人生が感じられる。

第3週
「私は欲しい。今の私のまま なめ腐ったやつらをたたきのめすことのできる力が。」
山田よねオリジン、男性教授陣による事実改変、花江ちゃんの孤独。毎話、神回だった。「失礼。」の一言とともに、さっとひざまづいて「お店のおねえさんたちに教えてもらった」月のものの痛みに効くツボを教えてあげる山田よね。怒りに満ちてトゲトゲしている彼女なりの寄り添い方、本当素敵なエピソードだった。好きすぎ。

第4週
「君たちはどこまで特別扱いを望むんだ。男と同様に勉学に励む君たちを僕たちは最大限敬い尊重している。」
女子部を卒業し、本科へ進んだ寅子たち。女性にモテるかどうかで男の価値をはかったり、自信より高学歴の男性には嫉妬してスンってなったり。男性の生きづらさにも踏み込んだ週。離婚しても親権を保持するために勉強する梅子さん、切ない。

第5週
「あたかも水中に月影をすくい上げようとするかのごとし」
結果が気になって毎日引き込まれるようにみた。無罪と聞いて「よしっ」と声をあげる山田よねが好き。優三さんの福笑い目隠し芸も好き。司法の独立と、法=水源というテーマ。

第6週
「雨垂れ石を穿つ」「私は自分を曲げない。曲げずにいつか必ず合格してみせる。」
ずっと共に闘ってきた仲間たちと次々に別れ、ぼろぼろになりながら高等試験に合格した週。その後も繰り返される海の場面が象徴的な週。2次試験が終わった後、悔し涙を流す寅子をみて私も泣いた。これまでの人生、生理やPMSで大事な場面でパフォーマンスが出せなかったこと、何度だってある。心当たりしかない表情だった。

第7週
「分かったんです。本当に心底くだらないとは思いますが、結婚しているか していないかということを人間の信頼度を測る物差しとしてお使いになる方が非常に多いということを。」
花岡が婚約し、弁護士になっても仕事を引き受けられず、ハートブレイクした寅子が社会的地位のための結婚を目指す話。優三さんからの突然のプロポーズ含め「その手があったか。」な展開でした。おめでとう!

第8週
「せめて僕の前では肩の荷を下ろしてさ。」「お前は一人じゃない。」
妊娠した身体で、やめていった仲間の分までと仕事を背負う寅子。そして挫折。「悲劇のヒロインぶりやがって」のよねの言葉が私にも刺さった。別れの変顔場面、仲野太賀さんの演技が光っていて号泣。

第9週
「すべて国民は法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」
戦争によって疲弊消耗し、心を失った寅子が自分を取り戻す週。頼りないけど寅子を愛した直言の一生分の懺悔にはクスッとさせられて、こういうのが人間だよなと思ったし、自分のためだけに贅沢をするようお金を渡すはるさんも素敵だった。第14条が寅子のこれからの核となっていくんだなと。こんなに憲法を声に出して言いたいと思ったのははじめて。「(一家の大黒柱なんて)そんなものならなくていい!!」と大声を張り上げた寅ちゃん、かっこよくてしびれた。

第10週
「でも私は好きでここに来たんです。」
過去の挫折経験から、今回は失敗できないとスンっとしてしまう自分を嫌悪しちゃう寅子。何週間かぶりの「はて?」に反応する桂場みたいな顔で、私も受け止めました。

第11週
「君も正しい 俺も正しい。それでいいだろ」「分かり合えないことは諦める!」
家庭裁判所設立までの週。轟とよねの再会からタッグを組むまでのやりとりの全て、カフェ灯台の壁に書かれた憲法第14条が心に沁みた。私の家の壁にも書いた方がいいかもしれない。

第12週
「まぁ生きてりゃ道が離れることもまた交わることもあるさ」
“子供”として過ごすことができず傷つき、人を遠ざける道男の週。はるさんの死に際で「やだ!」っと大声で子供のように泣き喚ける寅子のこと、羨ましいなと思った。

第13週
「ご機嫌よう!」
すべてを捨てて自らの人生を手にする決断をした梅子さん(平岩紙さん)劇場が最高だった。自らを縛りつける民法第730条を逆手にとって自由を手にする。知識って、力になるんだなと思わされた。

第14週
「おかしいと声を上げた人の声は決して消えない。その声がいつか誰かの力になる日がきっと来る。」
星長官や穂高先生を見送る週。衝突し気まずさを抱えながらも、受け継がれていく志。恩師や教え子といった関係性で人と人とが繋がることってそんなにないと思うから、少し羨ましいなと思ったり。

第15週
「トラちゃんが見てるのはね、本当の優未じゃないの。」
花江ちゃんに対して、(私は家族のために一生懸命働いてるのに)「何、その態度?」って突っかかる寅子。男女夫婦で陥りがちなこのやり取りを、この2人でやるのだと脚本に驚かされた週でした。真摯に反省して、子どもたちに対しても「ごめんなさい。」と頭を下げられるところが、寅子の素敵なところだと思った。

第16週
「事実に蓋をしなければ生きていけない人もいます。」
田舎特有の濃いつながり、持ちつ持たれつの関係性で書記官の失敗をうやむやにするのではなく、「この件を後に引きずることがないように。起こりたい時に怒れるように。」処分することを決めた寅子。そういうのも大事だよね。

第17週
「私がいなくなればお嬢様は自由になれるんです。」「どんなに大変でも、玉と生きていくことが幸せなの。」
周りの助けも足りながら、2人で、自由に生きていく覚悟を決めた涼子と玉の関係性が美しかった。

第18週
「平等やら何やらに気を遣えんのは、学があるか余裕がある人間だけら」
朝鮮人の放火事件を通して世間の冷たい眼差しや自身の裁判官としての資質を考えさせられる寅子。星さんの総力戦研究所に関する告白も重く響いた。夜ご飯はお菓子の日があっても良い!

第19週
「なりたい自分とかけ離れた、不真面目でだらしがない愛だとしても」
美佐江に抱く底知れぬ恐れや不気味さはなかなか言語化できないけれど、そういう人も実際にいる世の中、どうしたら良いのだろう。優三さんからのお手紙に泣き、不器用な2人の告白を微笑ましく見守った週でした。

第20週
「忘れ去られることがないように、同じ過ちを繰り返さぬように、誰かが声を上げねばならん」
原爆裁判が始まり、星家・猪爪家でそれぞれご挨拶する週。私は経験ないけれど、家族裁判のようなかたちで、家族みんなで話し合う機会をつくるの大切なんだろうなと思いました。憲法14条の壁の前で全力じゃんけんして、法律事務所名を決めるよねさんと轟に笑った。好き。

第21週
「どうしてもこだわりたいことが人にはそれぞれあるんです。私のこだわりをくだらないと断じられる筋合いはありません。」
歴代寅子の討論場面は楽しく、同窓生みんなでの結婚の祝福には涙し、盛りだくさんで好きな週。令和の時代になっても、まだ実現しない選択的夫婦別姓には私も「はて?」って大声で言いたい。

第22週
「生き残らなければ同じ場所に立てない。それは果たして平等と言えるのでしょうか。」
後輩のために、過去の自分のために、産休育休の制度を整えようとする寅子。子供扱いしてもらえなかった哀しみを吐露するのどかさんが切なかった。

第23週
「どの地獄で何と戦いたいのか、決めるのは彼女だ。」
原爆裁判の証人となろうとする原告を慰め、無理する必要はないと諭すよねさんが美しかった。自身の中に怒りと信念を持ちながらも、他人の心にはしっかり寄り添う姿に成長を感じたし、尊敬する。

第24週
「優未。あなたが進む道は地獄かもしれない。それでも進む覚悟はあるのね?」
いつか、はるが寅子にそうしたように、寅子が優未の覚悟を確かめる…。少年法改正に反対する多岐川さん(滝藤賢一さん)の怪演に引き込まれた。

第25週
「強いて言うなら世の中への私なりの股間の蹴り上げ方かしら。私をすぐにかわいそうで不幸な存在に落とし込もうとする世の中に。」
涼子様のために問題をつくり、人の不幸話を盗み聞きする美位子に対して「お前がかわいそうなわけでも不幸で弱いわけでも決してない」と言葉をかける山田よね。よねさんがますます好きになる週だった。美佐江の残した言葉”特別な私”が重く響く。

最終週
山田よね「はて?」
「今変わらなくても、その声がいつか何かを変えるかもしれない。
よねと轟が穂高先生の意志を引き継ぐかたちで、尊属殺をめぐる法を最高裁で違憲に導いたこと、感動した。今はクソな社会でも、時代でも、声を上げていればいつか何かを変えるかもしれない。寅子と仲間たちの人生は、私の生きる今のこの社会に繋がっていて、未来に向かって少しずつ変わっていく。そう思えて嬉しかった。

「さよーならまたいつか!」
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