このレビューはネタバレを含みます
前半でドラマに対する監督や役者の意気込みを感じたが、最終的には話題性や派手さに随分傾いてしまったなぁと、そんななんとも言えない感想。
前半は物語の舞台のスケールの大きさや、バルカ警察や阿部寛の熱量、テントや乃木ゆうすけの得体の知れなさに惹き寄せられるような感じ。特にチンギスとの追いかけっこの映像の迫力、乃木の正体判明時の堺雅人の異常っぽい感じが良かった。
後半は物語を畳むために描写よりも説明的な感じがした。特にテントのリーダーが父親だと判明して以降は"なんちゃって悪の組織"として急速にスケールが萎んでいく。
とにかく色々とディテールに無頓着な感じが目につく。（描きたいもの以外はおざなりにしている感じ？）
・細かいことをハッキングで何とかする。一番気になった。監修ついてるのかなこれ。
・テントの負の側面や活動が（説明はされたが）ほとんど映像として描写されない。
・二重人格にした必然性が無い。
見せ場薄く、主人格との職能の棲み分けも分からないし話題性のためだけに作った設定感が強い。（「守る」と言ったなら一つくらい最後に見せ場を作ってほしかった）
・物語の後半にメインキャラクターが関わる期待を裏切る真相や展開が無い。
・テロップで残酷な描写の注意の肩透かし感。アリのシーンの方が余程刺激が強かったし閲覧注意だと思うのだが。
・前半にあれだけお金をかける演出をしてるのに、なぜ後半はほとんど室内の会話のやりとりだけで済ませてしまうのかな。（この点でも釣れた視聴者には餌をやらないのかな？と詮索をしてしまう）
半沢直樹のように最初から歌舞伎的な演出に振り切っているものと比べて、真面目なドラマだと細かい点で気になるところが多い。日曜枠のドラマは難しいな、と思う。
でも海外での撮影やネイティブな役者の起用など、チャレンジ精神に溢れたドラマで、見てよかったと思う。
