サンタフェ

プラトニックのサンタフェのレビュー・感想・評価

プラトニック(2023年製作のドラマ)
3.6
う〜ん、なんとも言えないドラマでしたね。

しょうもないコメディとしては面白かったんですが、終盤しょうもなさが個人的なラインを超えてきてしまい微妙でした。

また地味に致命的だったのは、本作の”プラトニックさ”が正直あんまり刺さらなかったことでした。

私にとって”プラトニック”というテーマは「人生のパートナーと必ずしも(娯楽的にも子どもという後継ぎ的にも) 性行為は必要要素なのか」か「生活は全くともにしないけど遠くにいても切れない絆」のどちらかなので、本作はどちらでもない感じがしてしまって、どういう関係なんだとなってしまいました。

例を挙げるなら前者はONE PIECEは仲間が実質的に家族でありそこに恋愛(性行為)は発生しないけど航海がずっと続けば人生のパートナーであることに疑いはなく、だから彼らには結婚制度は必要ないという生き方があり、後者はドラゴンボールの仲間の普段は疎遠なようで必要な際には必ず世界のどこからも駆けつける強い絆があります(どっちの例もジャンプになっちゃった)。

主人公シルヴィアにとって夫は収入と性的魅力は魅力的だがその他はダメという典型的な伝統的結婚価値観の選択でありプラトニックとは真逆の相手。一方でウィルは一緒にいて楽しいプラトニックな存在。ただ本編の最初と最後で示される通りシルヴィアは最終的には全くプラトニックを重要視する価値観を持っていないんですよね。シルヴィアが子だくさんなのも象徴的です。

なので、本作はそういう新しい生き方とか既存の価値観への問題提起は全然しておらず、むしろ既存の価値観バリバリで生きてる主人公の愚痴に付き合うだけみたいになってしまっているので、”プラトニック”というテーマとしては正直全然おもしろさは感じませんでした。その上で終盤は単純に大人として無責任すぎるしょうもないエピソードが続きテンションが下がってしまいました(そもそも「大人も無責任に馬鹿やりたい」と「プラトニック」が接続されている作風自体がなんか嫌でした)。

と、ここまでボロボロに書いてしまいましたけど、AppleTV+のローズバーン作品はフィジカルもわりとそんな感じですし、AppleTV+全体としてみるとこういう作品もあるのは強みだなとなりました。いろんな立ち位置の作品を作れるのはよいですね。
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