被災から12年。いまも訳ありの人ばかりが暮らしている仮設住宅に、金のために潜入した半助だが、彼もまた被災して家族を失ったひとりだった。仮設という名のホームでたくましく生きる人々の姿を描いた、群像エンターテインメント。
原作は小説であり、黒澤明監督が「どですかでん」で映画化した名作。これをクドカンがクドカンらしく、現代のものとして再構築したのが「季節のない街」だ。
決して明るい話ではないのだが、ついクスッと笑ってしまう軽やかさがある。
キャスティングがとにかく素晴らしいのだけど、わたしは特に六ちゃんのことが大好き。クドカンの「六ちゃんにぴったりだと思った」という期待に、濱田岳は見事に応えてみせたと思う。
電車が大好きで、毎日「どですかでん、どですかでん」と叫びながら、見えない電車を走らせ、運行が終わると整備や掃除までこなす六ちゃん。
惣菜屋の母・くに子との掛け合いもすごく面白い。六ちゃんはなんらかの特性を持っている青年で、くに子は相当苦労しただろうということは重々伝わってくるのだが、それでもこの親子には笑わされてしまう。くに子を演じたのが片桐はいりであるのも理由のひとつかもしれない。
そして、わたしがそもそもこのドラマを観ようと思ったきっかけは皆川猿時が出るからなのだが、蓋を開けてみれば彼が演じたのは猫。半助が飼っている猫・トラだった。
皆川猿時という俳優の底知れなさを思い知った。癖のある可笑しい人を演じるのがとても上手な方ではあるし、だから大好きなのだけど、そんな彼をこんなに上手に使うとは。そして本人も、それを引き受け、ただこなすだけでなく120%の力で熱演してみせたことに驚く。猫を、120%でだ。誰にでもできることじゃない。
内容に関してもっと語るべきだとは分かっているし、他の俳優たちもすごく良かったのだけど、わたしにはあまりにもトラ(擬人化)が光って見え、六ちゃんの「どですかでん」が心に残り続けている。