マグルの血

コタツがない家のマグルの血のレビュー・感想・評価

コタツがない家(2023年製作のドラマ)
3.8
ダメ男3人を養う女性の話。

最初あんまり面白くないなって思ってたんですけど、後半の畳み掛けがすごくて結果楽しめました。「コントが始まる」や「俺の話は長い」も好きだったし、その感じが出ていたので良かったです。

軸は深堀家という男3人女1人猫一匹の家族の話なのですが、私の印象では夫はクズ、父はメンヘラ、息子はデリカシー皆無という人を不快にさせる天才。
3人を面倒みなきゃならない可愛そうな主人公小池栄子演じる万里江の苦労話という令和あるまじき問題作。

多様化の時代とは思えない発言が飛び交い家の中では喧嘩が絶えない日々。その屈辱的、かつ怒りの日々が原動力というポジティブなのかネガティブなのかよくわからない感情で突き進む万里江。観ていてモヤッとする瞬間だらけのちょっと変わったコメディでした。

男3人がホントにクズで、特に夫の悠作はひどい。一つも可愛げがない演技を吉岡秀隆が見事に演じきりました。多分嫌いになった人も多いんじゃないかな。すごい覚悟が必要そうなとてつもないクズ。近年稀にみるクソヤロウキャラクターです。

だから序盤はイライラする小池栄子とイライラさせるアホ3人のやり取りに一つもスカッとする要素がなく、本当にしんどいドラマでした。

ところが、話が進むうちにだんだんとクセになっていき、トラブルで口論になる度に笑ってしまっている自分がいました。全体的に役者が役にマッチしておりナチュラルに浸透していく感じ。今までに味わえなかった独特な雰囲気の作品です。

キャスティングも妙で、あまり他では観れなさそうな組み合わせというか。ゲストで安田顕が出演した回は非常に見応えがあったし、小林薫を雑に扱いまくる演出も不思議と小気味良い。気づけばしっかりハマってしまいました。


手放しで「超良かった!」とはとてもじゃないけど言えません。が、期待を大きく上回る素敵な作品。年末大穴でした。最後まで観て良かったです。
マグルの血

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