マグルの血

不適切にもほどがある!のマグルの血のレビュー・感想・評価

不適切にもほどがある!(2024年製作のドラマ)
4.6
昭和と令和を比べよう。

今期一番ですな。かなり攻めた内容だと思います。ゴリッゴリの昭和おじさんが令和にタイムスリップ。価値観や考え方の違いに戸惑いながらも、自分なりに切り込んでいきながら一つ一つの問題を考えていくストーリー。
多様性、ハラスメント、SNS、LINE、コンプライアンス…
昭和の人間からすると煩わしくてめんどくさいことで溢れかえる令和。ゴリゴリ昭和おじさんの小川市郎はそんなしがらみだらけの令和の通例に立ち向かっていきます。

本作の特徴は、現在では絶対にありえない言語表現と時々差し込まれる謎ミュージカル。
注釈を入れているといえ、あれだけの汚い言葉が公共の電波にのるということは、ある程度テレビ局側で自粛しているんだなと改めて再確認。私生まれがちょうど昭和61年なんですけど、ほんとにあんな感じだったんでしょうか。

そしてミュージカル。むちゃくちゃ無理がある(笑)でも斬新っちゃ斬新ですよね。無理くり啓発ビデオみたいな仕上がりにして、強制的に強いメッセージを視聴者に叩き込む。その手があったか。明確なメッセージは時に思想を偏らせるというリスクが考えられますが、そもそもいつの時代も偏った思想に踊らされてると考えるとそんなに悪いことではない気も。
思考をストップさせないという意味では考える機会を与えてくれるよいドラマかと思います。

それにしても笑って泣ける良作。かなり下らないと笑っていたら突然フルスロットルで泣かせにかかる。最終回は感情のやり場がわからなくなって混乱しました(笑)

令和も始まったばかりだし、これからもどんどん人類の思考はアップデートされていくのでしょうか。最後の注釈にある通り、現在の表現や思考ですら不適切になる時代もくるかもしれない。

生きにくくなったと感じることもあれば、昔より生きやすくなったと感じる場面も多々あると思います。模索し続けることは絶対悪いことではない。寛容であり続けることにこだわり続け、言いたいことも言えないポイズンな世の中でも笑って過ごせるような人になりたいものです。

クドカン作品では「俺の家の話」は越えられなかったかな。でも十分面白かった。クドカンファミリーは健在だったし、ヤッシーも面白い。錦戸くんの使い方も雑で好き。変なドラマだし、人によっては不快かもだけど、観てみる価値はあると思います。
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