マグルの血

下剋上球児のマグルの血のレビュー・感想・評価

下剋上球児(2023年製作のドラマ)
4.6
三重県の弱小高校野球部が下克上を果たすべく甲子園を目指す話。

高校野球を題材にした直球スポ根青春モノ!中途半端な恋愛なし!変な魔球やクセの強いキャラクターもなく、あくまで青春の1ページとして高校野球の栄光「甲子園」を目指す高校生達の友情·努力·勝利を刮目せよ!

…と言いたいところなんですが、このドラマ賛否別れた大クセ設定が一つあるおかげで通常のスポーツ青春ドラマと一味違う作風になっています。

元々実在する高校をモデルにした原作があり、そこかインスピレーションを得て脚本にしているそう。スタッフ陣はTBSドラマファンにはお馴染みの面々。代表作に「最愛」や「Nのために」など、人間ドラマとサスペンスを絶妙に溶け込ませた作風が特徴かなと個人的に思うところあり。
キャスティングも固い芝居に定評のありそうなベテランとオーディションで選ばれた高校生役の若手勢。

このスタッフとこのキャスト。人が死んでもおかしくないと妙な不安を覚えつつも、これは期待大だとわくわくしながら鑑賞した1話目にがっつりハートを捕まれてからはしっかり毎週の楽しみにさせていただきました。

私は正直野球は好きではありません。ルールや見所はドカベンとパワプロである程度補完できていますが、例えばプロ野球や高校野球をリアルタイムで追ったりすることはなく、それどころかそのシーズンの優勝チームすら出てこないほど興味がないです。

そんな私でも最後まで飽きずに「野球ドラマ」として楽しむことができましたので、スポーツものとしてのクオリティはかなり高いと思います。嘘っぽさがなく非常にリアリティーがあったし、球児の表情や心情がドラマチックに描かれていました。

若さ故のエネルギーとでもいうのだろうか。

通り過ぎてしまったキラキラしたあの頃。望めば何にでもなれるかもしれない。まったくそんなことはない。
成功と挫折に一喜一憂しながら、ジェットコースターくらいの感情の起伏と生活していたティーンの爆発力。

青春のまっすぐなエネルギーと大人の罪と罰のクロスオーバー。個人的にはこの設定があったからこその見応えだったのではと、最終回を観終えて思うのでした。

特に鈴木亮平、黒木華の演技が素晴らしい。この二人のやり取りや演技を観るだけでも、このドラマの4割ほどは楽しめるくらい言葉や表情の刺さり具合が半端
なかった。

VIVANTの後だったので心配していましたが、余計なお世話でしたね。
今季では最高に面白いドラマでした。
マグルの血

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