ああ、好きな役者さんばかり出てる
と、思ったら、森下さん脚本だったと途中で思い出した。
ブラックジャック
手塚先生の傑作をドラマに仕立てるのにどれほど力を注いだのでしょう。思っていたよりもずっとすっきりとした物語に見えたけれど詰め込まれたエピソードは複数あるはず、解体して再構成してかつキャラクターのそのものを失わない、なんてことは無理難題。ブラックジャック、手塚治虫を知らない世代には良いイントロダクションになったのではないだろうか。作品世界を紹介して誘う、よく出来た予告編のようなドラマだったと思う。
その上で現代的なテーマもセリフできっちり補ってくるあたり、やはり時代を超えていまこの作品をドラマとしてつくる意味はあったように思う。ルッキズムや安楽死、希死念慮など。それから、親ガチャ。生まれたところの親の、養育者の経済的な立ち位置でその後その子どもに与えられる選択肢が決められていって良いものなのかどうか。
青年の視点で物語が進む構成も良い。どうしても彼を見ていると「ぎぼむす」のヒロキに見えてしまって、そっかぁ、医者の卵かぁ立派になったねえ…とか思っちゃう。
手塚先生が後世に残した影響力は絶大。大き過ぎて言及するのも畏れ多い。これからも読まれ続けていって欲しい。メインビジュアルを文庫本の表紙を思わせるデザインにしたのも素敵だった。いまも手に取れる作品あってのドラマ映像化。これを機会に多くの人に読んでもらえると良いな。