どんとこい侍

坂の上の赤い屋根のどんとこい侍のネタバレレビュー・内容・結末

坂の上の赤い屋根(2024年製作のドラマ)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

2024年3月、WOWOWで毎週視聴中、
原作既読、オンデマンドで全話視聴済。

登場人物全員ヤバい。もうそれしかない。
原作は令和版「藪の中」であらゆる人の想像・妄想・真実が入り交じり読者が見極めたり拾い上げていく形。ドラマではきちんと誘導され、最後に真実がきちんとわかるようになっている。

ドラマめちゃくちゃ良い…演技派しかいないので圧倒されてる間に見終わってしまう。そして全話見てからまた1話に戻るとあらゆる部分の伏線に気付く。登場人物全員「親にきちんと愛されなかった」という傷を抱えている。音楽もずっと不気味(褒めてる)だし、光と影の使った表情の映し方も絶妙。
出来れば原作のやば発言もノーカットで詰め込んで欲しかったけど、WOWOWの品位のため?にダメだったのかな…そこだけ惜しく感じてしまったのでマイナス0.3。

★死刑囚:大渕
やばい。見た目が良い。バラも血も似合う。幼少期もすこぶる可愛い。蒸しパン突っ込まれても許せる。のちのちの会話でわかるが編集者橋本と同世代(見えない)。容姿端麗だからこそ様々な人の中で妄想をかき立てられてしまう。
元ホストでお世辞よりも相手の欲しい言葉を言うタイプ。呼び方の使い分け、「お金ないの?じゃあ離婚しよう。心配だもん」という駆け引きが天下一。女性の扱いに慣れているにも関わらず、彩也子に出会ってしまったのが運の尽き。不利になる自叙伝をあえて発売し、彩也子の法廷証言を否定せず、人生を犠牲にして彩也子を救おうとした。彩也子に会いたくて再審請求を希望する。ある意味やさしい被害者。
ジャニーズ1病んだ役が多い(刑務所率も高い)A.B.C-Z橋本良亮さんにドンピシャすぎる。2年前にライブを見て起用を決めたプロデューサーさん、騒動のさなかでもキャスト変更せずに撮影を実行してくれたWOWOWさん、本当にありがとう。更に過去を振り返った時の衣装が時代とドンピシャに合っていて、はわわわわノースリーブのパーカーはアイドル誌で着てたよね!とんがった靴履いてたよね!花柄シャツは白スーツはホストの証だよね!最高🤦‍♀️となる。
橋本さんの過去作である、BAD BOYS J(広島ホスト系不良集団のボス ヒロ)・コインロッカーベイビーズ(白シャツのハシと黒シャツのキク/刑務所行き)・良い子はみんなご褒美が貰える(イワノフ/刑務所にいる)・少年たち(少年刑務所にいる)も彷彿させてくれるのでヲタク必見の役どころ。

★小椋沙奈:小説家
やばい。このドラマ内にいる全母子がなかなかやばいがこの家もかなりやばい。自分の意思をなかなか口に出来ない人のか細い声とか華奢なシルエットを倉科さんが忠実に再現してる。
受け入れてくれた橋本の前では割とのびのびとすごしていたが、笠原の助言により態度を変え、自分の小説にのめり込みすぎて彩也子になり切ってしまった…

★元編集者で大渕のパトロン:市川
やばい。でも原作のやばすぎるセリフは全カットされてた笑
意外とキレ者、本当に仕事できる人だったんだろなというのは随所で分かる。見極める力を持っているからこそマウントを取る事もある嫌な女。橋本のコマとなった狂言回し的な役割。大渕に愛されなかった事・後輩が後釜に居座っている事への復讐を果たしたのかな…

★大渕の恋人:彩也子
やばい。やばさが見た目からはあまり分からない点もやばい。しかしスピードワゴンの言葉を借りると「こいつぁゲロ以下の匂いがプンプンするぜ!!」。
原作にある大渕証言の初対面シーンのやばさがカットされてる。あと大渕好みの金髪が伸びて裁判時にはプリンになっているがドラマでは清純派を引き立てるため?に黒髪のままだった。

★大渕の妻:法廷画家
激やば。話し方やキョドり方がリアルコミュ障。家族にとっては地雷だが、大渕にとってはコントロールしやすい人物。一家の落ちこぼれなだけあって、思慮が浅く視野が狭く突き進んでしまう。美容室に行ったりヒールを履いてきたりする見栄っ張りでもある。
絵が上手いと褒められることで自尊心が満たされる。ひねくれずに1番近くで絵を褒めてくれて応援してくれた母に気付けていたらもっと違う人生だったに違いない。
完成披露試写会見のときに蓮佛さんは「演じるのがキツかった」と仰っていたので、この役柄とはかけ離れた人柄なんだろうなぁと思った。

★編集者:笠原
やばい。カリスマと呼ばれているけど、先輩の失脚で立場をゲットし部下の手柄を堂々ととる無能な御局様タイプ。ハイスペな部下に頼み事をすればよかったのに真実を見極められずに踊らされ、市川に「あんた才能ないんじゃな~い?」と言われてしまうのも納得。
どうでもいいが、私は轟書房と聞くたびに「車!車!車!車3つで轟デス!」を思い出すワンナイ世代。

★弁護士:弓枝
やばい。法廷画家の唯一の友人として、内心思ってることは一切顔にも口にも出さない点では大人の女性。だが最終的な行動がやばい、賢さはどこへ…

★若き大渕を雇ったイベント会社代表:笹井
唯一やばくない。恐らく誰よりも素の大渕を知っている。彩也子が大渕好みになるために金髪になったエピソードと大渕が「彩也子はこわい」といっていた証言がドラマではカットされている。

★副編集長:橋本(主人公)
激やばラスボス。愛憎が一体化していて迷いなく殺せるタイプ。調査済の個々の性格を把握した上で物事をコントロールしていた。大渕の自叙伝を代筆、小椋亡き後は小説も仕上げる。
生い立ち的には相当な苦労をしているはずなのに、満たされなかった結果なのだろうか…。「母は行方不明で~」と言っていたが「1人殺したら同じ」という文章から既に復讐済なのではと私は推測している…
字幕でドラマを見ると最初の鼻歌が橋本のもの、1話で大渕に届けられたメモの文字が小椋に渡した付箋と同じであるなど、伏線が散りばめられてた。
最終話の大渕との対話で、声のトーンの変化や視線のギョロ感がこわかった。あれが本性なのだろうと思うと作中で1番やばい。幼少期たまたま見上げた家を憎しみのターゲットにして復讐し、結果的に(酔いながらもやばさに気付いた市川以外の)皆殺しをやり遂げたのもやばい。