手塚治虫『新選組』を『美しい彼』の坪田文が脚色。BLというより意識しているのは映像のトーン含めブロマンスではと思う。原作は萩尾望都が漫画家を目指すキッカケになった作品なのでこの方向は間違ってないのでは?
桜の下で出会って花火の下で別れる儚い構成。東映京都の美術の説得力。シン・時代劇と銘打って正体バレバレな黒衣の剣士の登場は御愛嬌。
大作・丘十郎コンビと新之丞・南無之介コンビの対比が巧くはまっている。町の茶屋から新選組隊士になった丘十郎のメンターになるのが、芹沢鴨、山南敬助、坂本龍馬と新選組の大義から外れる人物なのが面白い。
芹沢鴨が従来の粗暴な人物ではなく先見の明がある策士に描かれているのも良い。坂本龍馬はピアスというビジュアルだけど、佐藤流司の土佐弁は聞いてて心地よい。阪本奨悟の土方歳三は正直最初は「線が細い」と思ったが、重い展開が続く後半からは「鬼の副長」の顔が出て来て良い。
山南敬助脱走の経緯も史実プラスαの脚色が個人的には面白いと思ったし、大作の過去に安政の大獄を持ってきたのも巧いと思った。