ShoMさんの映画レビュー・感想・評価

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ジャズ大名(1986年製作の映画)

4.0

同じ岡本喜八監督の「赤毛」や「吶喊」と同時期が舞台なのに、鬱々としていないあっけらかんな映画。

上っ面な改革(明治維新)よりも古色蒼然とした武士のプライド(徳川幕府)よりもジャズに身を任せたほうが
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劇場版カードキャプターさくら(1999年製作の映画)

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桜の季節ということでカードキャプターさくらに洒落込む。 

香港旅行で事件に巻き込まれるメインプロットは、アニメの劇場版でよく見るパターン。鳥籠や水のイメージはCLAMPっぽく手描きのエフェクトも良い
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長恨(1926年製作の映画)

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中島貞夫が『多十郎殉愛記』でオマージュを捧げた作品。

現存するのはクライマックスの15分ほどだけど、逃げる男女、多勢に無勢、縄と『多十郎殉愛記』とはほぼ同じシチュエーション。

多十郎殉愛記(2019年製作の映画)

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中島貞夫最後の時代劇。
闇にひらめく白刃からはじまり、とにかく殺陣、殺陣、殺陣。とにかく格好良いチャンバラが見られる。撮影所の使い方も良い。

主人公・多十郎の人物造形がかつての中島作品のようにギラつ
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麻雀放浪記(1984年製作の映画)

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イラストレーター和田誠の初監督作品。和田誠の映画愛が強く伝わる。

モノクロの映像が敗戦直後の空気を醸し出させ、FOやワイプを多用した場面転換も50年代の往年の名画のよう。と思ったらクライマックスでは
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さよならジュピター(1984年製作の映画)

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小松左京が夢見た日本の『2001年宇宙の旅』。設定や特撮、羽田健太郎の音楽は非常に良いんだけど、世間の評価通りあまり良い映画とは……。

火星の極冠の氷の下から現れる地上絵の掴みは抜群。OPタイトルの
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首都消失(1987年製作の映画)

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もしも首都圏が巨大な雲に包まれ隔絶されたら……。首都圏の機能を失った日本が混乱に陥っていく小松左京のシミュレーション小説を映像化。

前半はサスペンスフルでテンポよく日本の混乱を描写していき、しかも豪
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ドラゴンボールZ(1989年製作の映画)

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ピッコロと因縁のあるガーリックJrの登場。ピッコロの声が古川登志夫なので、ガーリックJrには『うる星やつら』『北斗の拳』でライバル役だった神谷明が起用される。

ガーリック三人衆の名前がサンショ、ニッ
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ドラゴンボール 神龍の伝説(1986年製作の映画)

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鳥山明の訃報にふれて20数年ぶりに鑑賞。原作序盤をオリジナルの敵キャラを登場させて再構成。

ブルマ以下レギュラーキャラも欲望まるだしのため、悟空とヒロインのパンジーの無欲さが光る。

美食にこだわる
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仮面ライダー555(ファイズ) 20th パラダイス・リゲインド(2024年製作の映画)

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仮面ライダー555の20周年記念作品。
導入の解剖シーンから555だ! と思わせる。ライティングかカラーグレーディングか映像のトーンもTVシリーズを思わせる。

ラー油にはしょうもなさすぎて笑わされ、
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スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)

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冒険を通した少年の成長譚。語り手は大人になった主人公だけど、子どもだった当時の感情を大人になってから決めつけない視点が良い。
ただ主観的というか感覚的というか、その成長過程がボンヤリしている。そういう
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必殺!5 黄金の血(1991年製作の映画)

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全映画作品の中で世間一般の『仕事人』のイメージに一番近いのかもしれない。

金座後藤家と勘定奉行が企む御用金の横領。岸部一徳が3作目では両替商組合の非情な掟の犠牲になる役だったのに、今回は悪役の後藤三
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必殺!ブラウン館の怪物たち(1985年製作の映画)

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ファンからもスタッフからも失敗作扱いだけどこれはこれで楽しめる。
徳川家康が残したからくり屋敷を巡り、守り手の伊賀忍者、幕府、公家、外国人武器商人が入り乱れる。 

ブラウン館=ブラウン管ということで
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機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-(1998年製作の映画)

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仲間由紀恵が出てることで御馴染の劇場版機動戦艦ナデシコ。

ツイン・ピークスのTV版と劇場版まではいかないけど……。ギャクとシリアスのバランスが絶妙だったTV版から、比較的重いトーンの劇場版のギャップ
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県警対組織暴力(1975年製作の映画)

5.0

人物配置や展開に無駄がなく、もはや“完璧”だと思う一本。ヤクザも警察も中身は同じ。そんな訳でキャスティングもどっちがヤクザで警察かわからない面々。

菅原文太の刑事と松方弘樹の組の若頭の壁を越えた熱い
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必殺!主水死す(1996年製作の映画)

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東山紀之最後の仕事人を観たので、今度は中村主水・最後の仕事人を……。しかし結局このあと『必殺仕事人2007』で主水復活。

一番の問題は藤田まこと=中村主水の最期を描く作品でありながら、最大の魅力であ
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トラック野郎 望郷一番星(1976年製作の映画)

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辰年なんで新年一発目は梅宮辰夫の出演作品(ただし梅宮辰夫は寅年……)。

辰兄の役柄は釧路の魔王・カムチャッカ。暴力的だが一途な男。『仁義なき戦い』では兄弟分だった菅原文太と梅宮辰夫がライバル関係に。
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仮面ライダー THE WINTER MOVIE ガッチャード&ギーツ 最強ケミー★ガッチャ大作戦(2023年製作の映画)

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いつものお祭り映画だと思ったら、かなりガッチャードのTVシリーズと連動。クロスオーバー作品というよりは、ガッチャードの世界の中にギーツが客演しに来たような感じ。

導入のレストランの幽霊騒ぎは完全に『
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ダイ・ハード2(1990年製作の映画)

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クリスマス映画その2。
今度の舞台はイブの空港。監督もレニー・ハーリンに交代し、良くも悪くもド派手に。悪天候も要素に入れたため、前作よりも雪が強調されているのはよいが、前作にあった閉鎖空間から抜け出す
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ダイ・ハード(1988年製作の映画)

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クリスマス映画その1。
イブの夜に占拠されたハイテクビルの中でブルース・ウィリスが孤軍奮闘。

これでもかという爆発、死体に書いたメッセージ、FBIの死にっぷりと、人の死をもはやギャグとしてエンタメに
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ダイヤモンドの犬たち(1975年製作の映画)

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ダイヤモンドを巡る鉱山内での攻防戦。内容はルパン三世のTVスペシャルのようで、主演のピーター・フォンダの吹替が山田康雄なのもそれを加速させる。

非情な警備責任者テリー・サバラスは砂漠の中でも存在感を
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修羅雪姫(1973年製作の映画)

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生まれ落ちた瞬間に親の怨みを背負わされ修羅の道を行く女。赤い雪からタイトルが出るのがまず格好良い。 

血柱が立ち、血飛沫が舞い、腕が吹っ飛ぶ一方、断ち切ることのできない復讐の連鎖がなんとも哀しい。キ
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(2023年製作の映画)

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国盗り物語ならぬ“首取り”物語。
『アウトレイジ』よろしく悪いやつと馬鹿しか出てこない。

黒澤明meetsペキンパーというか、題名が『首』だけあり『ガルシアの首』を想起する。となると中村獅童の茂助が
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影の軍団 服部半蔵(1980年製作の映画)

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服部半蔵は2人いた! 『真田幸村の謀略』に連なる自由(トンデモ)な東映流時代劇。

テレビ時代劇から東映京都に凱旋した工藤栄一は、山村聰、緒形拳、藤田まことと必殺シリーズの主要キャストも連れてきた。
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座頭市(1989年製作の映画)

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勝新太郎、最後の座頭市。娯楽と芸術の狭間というか、自分のイメージだけを繋ぎ合わせて映画にするという勝新の力技。人の縁というか出会いというか大きな話はない。

勝新と三木のり平の二人芝居、闇と湯気を交錯
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

太平洋戦争後でゼロになった日本をゴジラが襲い“−1.0”へ。

ボロ船と並走するゴジラや艦船など、CGのクオリティが半端なく高く、ゴジラも昼間暴れまわるので影等でごまかせない。強大なゴジラから圧倒的な
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地球へ・・・(1980年製作の映画)

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この当時よくあった名義貸しではなく、実写畑の恩地日出夫がちゃんと監督したSFアニメ大作。管理体制の中で生まれた超能力“ミュウ”、体制側“人類”の戦いと葛藤の物語。

長回しや芝居を続けるキャラクター、
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エースをねらえ! 劇場版(1979年製作の映画)

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省略と抽象化によってアニメを映画にした怪作。

物語は主人公・岡ひろみのテニス部入学から代表選手になり渡米するまで。ひとりの少女の成長物語として再構成され、
出崎演出のオンパレードで一気呵成に進んでい
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転校生 -さよなら あなた-(2007年製作の映画)

4.0

舞台を夏の尾道から紅葉の長野に変更した大林宣彦による代表作『転校生』のリメイク。「性」ではなく「生」の入れ代わり。

オリジナルにあった「生」が溢れる感じは薄く、ジェンダーに関しても序盤までで、後半か
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蔵の中(1981年製作の映画)

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蔵の中での美しい少女と献身的な弟が繰り広げる耽美で淫靡な世界。ふたりが蔵から覗いたのは、とある中年男女のやり取り。少年が編集者に持ち込んだ原稿から始まる虚実混交の物語。

鼓を叩くからくり人形はじめ蔵
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屋根裏の散歩者(1992年製作の映画)

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江戸川乱歩原作を実相寺昭雄が厭世感あふれる映像に仕立てる。三上博史の倦怠感あふれる色気、嶋田久作の明智小五郎の異様な透明感が、乱歩×実相寺ワールドをもり立てる。

江戸川乱歩と実相寺昭雄の親和性は高い
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この子の七つのお祝に(1982年製作の映画)

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横溝正史賞・第一回の映画化で増村保造の映画の遺作。

角川映画だけど、設定と増村保造の図式的な演出が相まって大映ドラマな味わい。セーラー服の岩下志麻は、回想を女優にそのまま演じさせる師匠・市川崑の演出
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金田一耕助の冒険(1979年製作の映画)

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古谷一行、生涯唯一の金田一映画。
殺人防御率の低い名探偵の自己弁明と、未解決事件の整理。金田一と等々力の確執をベースに、そのテーマで首尾一貫してくれれば良かったんじゃ。

テイストとしては『HOUSE
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カリフォルニア・ドールズ(1981年製作の映画)

4.5

いやあ、やっぱり傑作。そしてアルドリッチの遺作。

女子レスラーのタッグとそのしがないマネージャーの人情喜劇。トレーニングよりも、八百長やドサ回りに泥レスと、スポーツとしてよりもショービジネスとしての
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フライトナイト(1985年製作の映画)

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もしも引っ越してきたお隣さんが吸血鬼だったらなホラー・コメディ。『SW』のリチャード・エドランドの手掛けたSFXが良い。

コメディだけど従来の吸血鬼もの通り、吸血行為が性のメタファーとして描かれてい
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魚影の群れ(1983年製作の映画)

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父と娘、その恋人のマグロを軸にした愛憎劇。JAWSばりに怖ろしいマグロ……。

船の下に本物のマグロがいるのは画面に凄みを与えるし、海の上だろうと長回しで撮影するあたりやはり相米慎二。

突然のスプラ
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