おりん

地面師たちのおりんのレビュー・感想・評価

地面師たち(2024年製作のドラマ)
3.8
50分前後×7話だから尺的に観やすい。騙す地面師/騙される不動産会社の構図、明かされる拓海の過去/ハリソンの目的、地面師と警察の対峙を掘り下げつつ上手くまとめられていて見応えあった。実話ベース+原作ありというのもあったのか、奥行きのある話になっておりその中に騙す側/騙される側のリアリティが感じられました。

話自体はめちゃくちゃ怖かったです。
実際の事件を基にしていて「ここまで騙されちゃうのか」と観る前は思ってましたが、騙す側が巧妙に仕組んでいたんだな…。そう考えるとゾワッとする。その流れと構図も巧みに描かれており、終始「詐欺計画がバレないか」「ターゲットや関係者が痛い目に遭わないか」という両側でのハラハラがありましたね。不動産会社に関しては、自分と会社の利益のためならなんでもやろうとするくらい、かなり野望が強いんだな…と思いました。

さらに怖いのは、地面師のトップ(ハリソン)が仲間まで普通に殺すところですね。裏切った者や用済みの者はどんどん排除していく。穏やかそうでやってることエグすぎる。豊川悦司が終始凄かった。静かな狂気と暴力性を表現していて、ずっとゾワゾワしてました。

ただ、性的な描写は何とかならなかったんでしょうか…。他の日本Netflix作品にも言えるんですが、性的なシーンが古臭いというかマンネリ化しているし強調しているように思えてきついんですよね。今作は、尼僧の素性や青柳のプライドを描いていく上で必要だったかもしれません。にしても、演出が下品でリアリティもないのはちょっと如何なものかと。

グロいシーンに関してはかなり生々しくてショッキングではあったんですが、ハリソンの奥に潜む暴力性と凶悪さ、事件の残虐さが伝わってくるものではありました(でも、とあるシーンの殺人シーンは不要だと思いましたね、ネタバレになるので留めますが)。物語単体はなかなか見応えあったものの、性的な描写に辟易したので☆4.0までは行かず。
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