定番シリーズだが、趣向を変えて、松重豊以外の役者が登場する。
マンネリを排しようと新たなチャレンジをする意欲は買う。
第一話、爆笑問題の太田光が中華料理屋の店主として登場した回はそこそこ面白かったが、第二話以降はリレー形式でマキタスポーツや板谷由夏、ユースケサンタマリアなどの各回のゲスト俳優が食事モノローグをする。
しかし松重豊のモノローグに比べて演技も脚本も今ひとつ面白くないのと、どの回にも松重豊が中途半端に出てきてモノローグを並行しだすあたり、これまでの杵柄にすがらざるを得ない制作サイドの葛藤を感じる。
おそらくその要因の一つ、美味しそうに食べる演技力の問題はもちろんあるが、それ以上に重要なのがモノローグ脚本の質だ。モノローグのセリフやリズムはそれを述べるキャラクターと不可分であるため、どのゲストの脚本も松重豊との差別化に苦労しているように見えた。
ただしゲストの職業が、タクシードライバーや救命救急医のようなベタなものだけでなく、相撲の行司やサウナ熱波師、こども食堂のボランティア、デコトラドライバーなど、あまりドラマでは登場しない職業が題材になっており、しかも割としっかりした取材に基づいた背景とともにドラマが描かれているので、そういう楽しさはある。