このレビューはネタバレを含みます
自分が助ける側、与える側だと思っていたら、実はそうではなかった。相手からも助けられていたり、与えてもらっていたりする。そんな大事なことを教えてもらえます。
最初の方は特にリアルな大変さが描かれていて、正直、観るだけでも大変でした。ああいったシーンを観ると、どうしても勉強というか、想像するための一助として観てしまいます。どれだけ気持ちを込めて観ても、当事者たちと同じ気持ちにはなれません。でも、こういう作品に出会ったときは、少しでも多くのことを受け取りたいと思っています。
この物語に欠かせない存在だった柚留木が、少しでも救われることがあって本当によかった。愛生があの屋上であんな風に優しくすることができたのは、お母さんからの大きな愛、洸人や美路人からの愛を受けたからだと思います。人の想いや優しさがあんなに素敵な形で巡っていくことに感動しましたし、この物語を凝縮したような瞬間だったと思います。これから柚留木のぽっかりと空いた心に、少しずつでいいから思い出が詰まっていってほしいです。
最終回直前のラストが最高にゾクゾクしましたし、最終回はかなり考えさせられました。たぶん、洸人はこれまでの生活の中で、たくさんの使命感や罪悪感を抱いてきたと思います。それは大きな局面ではなく、ごく普通の日常の中で。それがどれだけ精神的に疲れることか私には分かりませんが、途方もないことだと感じます。でも、多分、美路人も同じで、洸人がいなくなったときに声に出した罪悪感や自責の念を、日常的に感じていたのかもしれません。
そんなことを思いながらドラマを観ていたのに、洸人のスピーチを聞いてなんだか恥ずかしくなりました。もちろん、私が思っていたようなことを、洸人も言っていたように感じたり、妬んだりしていたのだと思います。しかし、それらもすべて引っくるめて、美路人のことが自慢だし、感謝しているんだと感じました。本当に素晴らしいスピーチでした。また、洸人のスピーチ後に貞本が「小森最高だ!」と言っていましたが、「最高なのは、涙を流しながら拍手しているお前もだよ」と思いました。
洸人とまったく同じ状況になる可能性は限りなく低いかもしれませんが、生きていれば、同じようなレベルの嵐に巻き込まれる可能性は高いと思います。そのときに乗り越えられるプライドがあるかどうか、それが肝心だと教えてもらえる作品でした。
柳楽優弥や坂東龍汰はもちろん、佐藤大空、齋藤飛鳥、岡崎体育、尾野真千子など、最高の俳優陣のおかげで最高の時間を過ごすことができたことに感謝しています。