仏頂面の学校医、牧野先生を演じる松下洸平は相変わらずの演技力と独特の魅力で、物語の中心ではありますが、彼に負けず劣らずというか、時には「主役を食ってしまう」ほどの、多彩な子役たちが、毎回のドラマの中で、泣き、笑い、そして時には「声にならない心の叫び」を視聴者(大人たち?)にぶつけてきました。本作の主役はまさに彼らだったと思います。
ドラマに中にたびたび登場する様々な「心の病」。親と子、先生と生徒、といった「こうあるべきだ」という関係性の中では、なかなか原因が見つけられず、当事者の声(思い)は届かない。それを、類まれなる観察眼と、子ども、親、先生という枠組みをやすやすと飛び越えて、解決?していく牧野先生。
そして牧野先生が「病院を去らなければならなかった理由」の一つである患者親子との関係、「病院を去ったことにより」手を放すこととなった患者である児童との関係も、物語の要所、要所で語られ、最終的には、牧野先生自身の「医者とはこうあるべきだ」という信念と向き合わざる得なくなる。
保健室という「安全な居場所」、そして対等なコミュニケーションとは?人の思いに寄り添うとは?など、様々な角度から考えさせられました。胸が締め付けられ、辛い場面もあったのですが、今シーズン、もっとも、感情を揺さぶられたドラマです。
「私は私が怖い」
「聞かせてくれないか、お前の言葉で」
「うれしいこと沢山あったのに悲しいことが一つあるとみんな何処かへ行っちゃった」
「でも心細い時には、無責任でも、寄り添ってあげることの方が必要かもよ」
「ここに来れば安心できる、そういう場所になっていると思います」
「たくさん力を借りて、時にはあなたが力を貸してあげて」