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未成年~未熟な俺たちは不器用に進行中~のyuのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

原作未読(これから読みたい)。今までみた中で一番好きなblドラマかも。毎週生き甲斐だったから終わってしまって悲しすぎる。漫画がどこまで描いているのかは分からないけど、ドラマのアフターストーリーで大人になった彼らも描かれていて、シーズン2無さそうで、良い作品なだけに悲しい、、
主人公のふたり勿論可愛いけど「可愛い!」だけではなく、30分ドラマの中でキャラの心情、展開など視聴者が置いていかれる事もなく、詳しく、上手く描かれてる。「30分ドラマ、BLドラマだから仕方ない」という気持ちになることが1回もなく、毎回短くてもっとみたいという気持ちにはなるし、1話の中の行事、時間の進みも早いけど、ゆったりとした時間が流れているように感じ、凄くクオリティが高い作品で解釈違い、齟齬が無いように、脚本家、監督だけではなく、演者とも感情、表現についてよく話し合って作ったんだろうなと感じた。あと、今作のポイントであっただろう水(海)、ふれあい(手、視線)、キスの表現もその時に応じた様々な表現、場面で使われてて凄い。
最近、サブスク、予算、コンプライアンスの影響で、「適当、理解なし、妥協」で作られた映画やドラマが多いように感じるなかでこの作品はそんなことがなく、30分ドラマ、BLドラマの範囲を超えて凄いと感じた。漫画とは表現されている部分や解釈が異なる部分もあるかもしれないけど、ドラマとしてちゃんと完成しているという所が良い。
ドラマの内容も行事が進むスピードは早いけど、展開、2人の関係が早いわけではないし、2人の性格、気持ちをよく知ることができるから良い。年齢だけではなくて、人としての成長、ふたりの関係の成長、心の繋がりの様子が見れるのが良い。
BLドラマあるあるの周りが同性愛に理解有る設定もいいけれど、未成年ならではの大人に振り回され、周りに影響されたり、苦しさ、辛さ、アフターストーリーで分かる大人になったふたりの悩みなどがしっかり描かれている内容だからこそ、カミングアウト、同性愛については考えてもいない周り達(一概に悪いとは言えない)などリアルに描かれているのが良かった。
映像がきれいなのは勿論だけど、ショット?カット?も良くて、見たい表情がしっかり見れるし、話が進むことによってオープニングの映像と答え合わせが出来るようになっていて、映像にもこだわりあって良いから、何回も1話からみたくなる(内容も含めて)。
このときはどういう行動があり、こんな感情になってたんだということが後からも分かり、全部説明しているわけではないけど(そこが良い)、解釈がしっかりできるし(「なぜ?」「なぜ急に好きという気持ちになったんだ?」がない)、脚本も映像も本当に良かった。水無瀬と蛭川の関係だけでなく、友人同士の微妙な距離感の違い、キャラの解釈、親との距離感、家庭環境の違いなど、時間の経過やその人の性格、環境が見える部屋の作りや小物、全部作り込まれて良かった。
しかも、見せたい所が作り手側にしっかりあるドラマ。この部分が本当に良い。だから、30分(厳密には23分程度)ドラマという限られた時間でも、特に作り手側が見せたいと思ってる重要なシーン(場面)は、より作り込まれてて2~3分程度しかなくても、そのドラマの中ではゆっくり時間が進んでいるように作られて、キャラクターの心情がしっかり読み取れるようになってるんだろうなと思う。景色、場所、水槽、プロローグなどにおいても表現が細かい。アフターストーリーもハッピーだけではなく、自己愛が低く、自分が加害者だと感じていた蛭川が大人になって人を柔軟に見ることができ、優しく接するもとからあった姿勢を活かすことができて、水無瀬を自信をもって愛し、まるごと抱き締めることができる人間へとなったことや環境のせいで人に対して冷めて甘えることができなかった水無瀬が蛭川に甘えることやちゃんと不安を伝えることが出来るようになった等の成長した変化や大人になった不安など描かれていて、このドラマらしい作りになってて見て良かった!
良い表情、台詞だと思うことが多いし、演技も好き。ふたりとも初めて見たけど、水無瀬役、本島純政の目線の動かし方、声の震え、特に蛭川役、上村謙信の表情(特に目と笑顔のバリエーション)、セリフの言い方(トーン、感情に応じた話す速度の違い、間+頷き)、好き!惜しい、棒読みだなと思うところもあるけど、演技が大きいわけでもないし、自然で良い。多分このふたりがドラマの雰囲気に合ってるからよりそう感じるんだろうと思う。
主演のふたりはもちろん良いけど、柴、根本、真島の演技も自然で本当にいそうな高校生感が良い(セリフも含めて焼きそばパンの話とか)。大人、親役の人たちも、配役ぴったりで、演技も含めて自然。30分ドラマ(低予算ドラマ)あるある演技下手(不安定)が無い。
最後の蛭川の映画は、上村謙信が3時間掛けて監督と共に実際に撮影したことやアフターストーリーのナンバープレートが世田谷区だったり、監督インタビューの水のある公園を探したため~的な話も含めてこだわりがちゃんとあって、やはり完成してる作品だなと思った。世にでる全部の作品がある程度のクオリティとこだわりを持って完成したものを作って欲しいなと思った。
何より原作者のヒヌン先生がこのドラマに満足してて、放送毎の感想でテンション高いの好き。作者が満足してたり、喜んでるのが何より。

大人になった水無瀬が(思いの強さの表れ、もとからの強さの部分から)攻要素も強くなってるけど、それを可愛いという目線で、させてあげている感がある蛭川を見て、やっぱ蛭川は攻めだし、この相性が良いなと思った


5話の蛭川の「俺はちゃんと親父の子だった」ってセリフが悲しさ悔しさ、痛みがある
6話の「"ただ"の本音でしょ」も好きだった。蛭川にとって水無瀬の存在は大きくて大切だけど、水無瀬のなかの蛭川の存在は小さくて、必要不可欠ではないって考えている蛭川の考えが出てるし、自分自身を信じていない蛭川がよく分かるセリフ。関係ないけど、6話で赤ちゃんがこっち見てる(カメラ目線)のが可愛すぎる。
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