みるみる人生転落していくお金持ちおじさんを、生暖かく見守るドラマ。

主人公のクープ（ジョン・ハム）は、やり手ヘッジファンドマネージャー。
若い頃から着実に成果を上げて出世し、富裕層が集まる地域に豪邸を構え、妻と子供二人で住むお金持ち。

順風満帆な生活を送るクープでしたが、社内の若い女性に手を出したことで即日解雇され、そこから彼の転落人生が始まります。

仕事一筋で家庭を顧みなかったことで、妻は不倫し、離婚。自宅を妻と子供たちに残したことで、別居費用もかかり、自分用の車も必要となり、、、と次々にお金は必要になるものの、プライドが邪魔をして再就職先も決まらない。

であれば、生活水準を落とし、慎ましく生活する、、、べきなのに、セレブな生活を維持したい彼は、ヘッジファンドマネージャー時代の金持ち友人たちの自宅から高価なものを盗み、それを換金するという暴挙に。

このドラマは、そんな急な坂道を転がり落ちていくおじさんを、生暖かく見守るコメディドラマです。

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主人公のクープを演じるのは、ジョン・ハム。
「トップガン・マーヴェリック」で、基地司令としてマーヴェリック（トム・クルーズ）に翻弄されつつも、パイロットたちを見守る、良い役を演じていた方で、本作でも安定の名優っぷり。

そんなクープはクソ野郎ですが、モテるタイプではあって、様々な女性たちが登場。エイミー・カレロやイザベル・グラヴィットなど、今後、様々な場所に登場しそうな実力派若手俳優が、たくさん登場していたのも印象的でした。

ドラマは全8話ですが、なにか大きなテーマに向かっていく内容ではなく、
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・はじまり
・ごちゃごちゃした揉め事（解雇が不当だ、とか、養育費が、とか）が起き、
・そうこうしてると、セフレだ、ワンナイトだ、みたいな感じでセックス
・そういえば金がない、ということで、盗みに入る
・ここでなぜか、盗んだ名品の紹介（バテックフィリップの腕時計の歴史～みたいな）
・盗んだものを売ろうとするが（そんな簡単ではない）
・終わり → 次の話へ
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がぐるぐる回りつつ、だんだん酷くなっていうっていう、単純なストーリー。

主人公には1ミリも同情できないのですが、主人公以外も、基本的には、見栄とウソと性欲にまみれた金持ちたちということもあり、まぁ、盗まれてもいいんじゃないの、みたいな感じの、ゆるゆるドラマでした。

じゃあ、面白くないのかって言うとそういうわけでもなく、気がついたら全話見てしまったのですが、見終わっても、どこが面白かったのかの説明が難しい、不思議なドラマでもありました。

国内で見ている人は少ないと思いますが、アメリカの批評サイトIMDBや、ロッテントマトでも高スコアで評価されており、そうそうにシーズン2が決定したところからも、何かわからんけど面白いドラマ、なんだと思います。

機会ありましたら、一話だけでも是非。

アメリカ富裕層の日常描写が面白かった。

金と時間を持て余すとろくなことにならない…。忙しくせっせと働いてる日常の方がある意味幸せなのかもしれない。

主人公が危機に直面してもなんとなく楽観的なのが、観ていてコミカルで面白かった。

この面白さはなんなのか。どこからくるのか、明確なことはわからないんだけれど、とにかく面白い。ここの撮影が〜とか、脚本が〜、演出が〜と指摘したいんだけれど、なんだか具体的に指摘しきれない。

乳飲み子を抱えながらも観るのを中断できないほど夢中になってしまった魅力はなんなのか。このドラマで何が観たい？って言われたらやはりクープというキャラクターに尽きるだろう。

物事の本質に向き合っているようで向き合っていない、何事にも全力投球なただのアメリカのお父さんである。「ブレイキング・バッド」のウォルターもそうだけれど、まあなんとも勤勉で家族想いだ。少し人の道を外れたところでそれは変わらない。

人の道を外れたところでまじめにやっているのはなんとも滑稽で観ている方はたまらなく面白い。倫理観なんて簡単に揺れて弾けて霧となり、ヤクザな道を進み始めるその人の顔に浮かぶのは、無敵感と充実感。

犯罪も上手くやったら楽しいんだろうなとか考えさせられてしまうのもこういうドラマの醍醐味だし楽しいところである。でもそんなのは妻と乳飲み子にはナイショなんだぜ。