夏

Nのためにの夏のネタバレレビュー・内容・結末

Nのために(2014年製作のドラマ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

かなり久しぶりに!といっても希美と成瀬くんのところメインに流し見程度だったけど


希美ちゃんが失った当たり前を取り戻してくれて、一緒にお酒飲んで笑って、時に弱音や本音を溢して、共感して話して…そんな時間を過ごした西崎さんとの関係性もすごく素敵な愛で。
明るい場所で、もっと広い世界で、自分らしく生きていてほしいと、その人の幸せを願うことができる安藤への想いも愛で。
ただ日常を一緒に過ごして、「苦労は忘れなさい」と頭を撫でて、喜びを一緒にしてくれる野バラ荘のお爺さんとの間にも勿論愛はあって。


相手の死期が迫った時に、相手の人生を尊重しながら、でも「ただ一緒にいよう」と言えて、窮地に迫った時に助けてと言えて、そして困っているなら助けたいと思い合える関係性は、たとえ罪の共有という行為が介在していなくても十分愛なんだと思うよ。
ただ、2人の周りにそんな過酷な環境が、人よりも多く、長く存在していただけで。

強くて優しい分、辛くて悲しいこともたくさん経験した2人だからこそ心の支えにできたんだと思う。例えドラマの中だとしても、ほんとうに幸せになってほしいよと思えるこの感情もまちがいなく愛だと思うよ。


最後のシーンを見ているうちに、自分の死期が迫った時に「ただ一緒にいよう」って言ってくれる人がいたら、どれだけいいだろうなと思った。そして漠然と、自分は一体どこで終わるんだろうなとも考えた。島に戻る選択をした人たちのように、いつかふるさとに戻る日が来るのかなぁ。

私も閉鎖的で何も無くて、こんな所早く出て行きたいと思っていたけど、振り返ればそこには家族との思い出と、友達との青春と、ただ毎日を元気に過ごした思い出がキラキラ輝いて、いつか死を迎える時に思い浮かぶのは、高校のグラウンから見えていたあの綺麗な山々と空だろうなと思うし。

まぁでも、たとえいつその時が来ても、自分への愛も他者への愛も全部抱きしめて、自分を愛して他人も愛せる人間になっていたいなぁと、そんな取り留めもないことを考えて泣いたドラマだった。また見たい。
夏