ウタカ

トットてれびのウタカのレビュー・感想・評価

トットてれび(2016年製作のドラマ)
4.6
女優黒柳徹子の半生をドラマ化

前半はテレビ草創期ならではのエピソードが中心に描かれ、後半は向田邦子、渥美清、森繁久彌といった徹子さんとその友人たちとの暖かくも切ない思い出がオムニバスのような形で展開します。

まずはなんと言っても主演の満島ひかりさんのハマりよう。
徹子さんはご本人が濃ゆいキャラクターとして誰もに認知されている中、満島さんの好演で、このドラマの主役をなんの違和感もなく「徹子さん」として受け入れられたこと、これがなにより大きかったと思います。

そして向田邦子役のミムラさん。私自身は放送当時、向田さんのことはよく知りませんでしたが、それでもなぜか「あ、きっと向田邦子ってこんな人だったに違いない」と思える説得力がありました。
この作品をきっかけに向田さんに興味を持ち、生前の向田さんの映像にも多く触れた今、ますますその演技の迫真ぶりに感心する一方です。
傑作といえる本作の中でも、向田さんとのエピソードが描かれた5話はとりわけ出色の出来のように思います。

作品全体として優しく暖かくどこか懐かしく、テレビ草創期が描かれる前半はパワーに溢れ、大切な人たちとの別れが描かれる後半は物悲しさも漂う、心に深く残る素晴らしい作品でした。
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