無影

エージェント・オブ・シールド シーズン4の無影のレビュー・感想・評価

4.0
3編構成で過去一でテンポ感が良かったですし、その3編ともが巧妙に絡み合っていて、充実したシーズンでした。
今シーズンは、全編通じて、人とは何か、自我とは何かというテーマがありました。第1編のGhost Riderでは、「魂の在り処=身体の在り処」という法則の支配する非常な物質世界に生きるが故に登場人物のそれぞれが抱く後悔を描き、今シーズンの軸の裏に忍ばせます。そして、第2編のLMDの登場で、上記の法則が、「魂の在り処=物質の在り処」というラインにまでの後退します。人間にもLMDにも魂はあり、この段階に至ると、コールソンたちはもはや身体が金属ができているか否かという基準でしか両者を区別することができなくなっていました。といっても、まだ区別ができるだけ良かったのですが、第3編のAgents of Hydraになると、舞台が人間の身体から魂だけ抽出された世界に移り、その区別すらできなくなってしまいます。そして、この魂が物質から離れて存在できる世界で、コールソンたちは、物質界で生きてきたからこそ負うざるを得なかった上記の後悔を取り返そうとするのです。では、結局、人とアンドロイドの区別はどこに求められるのでしょうか? 今シーズンは、これまでにないほど哲学的な内容をテーマとしていたようにも思えます。
また、IT大手がこぞってメタバースの開拓に乗り出した今日に観たからか、その点でもとても視座に富んでいたと思います。上記の通り、仮想空間は人を身体の縛りから解放して自由にする夢の世界のようにも思えますが、それを構築するアルゴリズムには人の意図が介在しており、物質の中に留まっていれば誰にも覗かれることのなかった精神を常に操られることになる。今シーズンではフィクションの域の描かれ方でしたが、もしかしたら、今後真剣に考えなくてはならない時が来るのかもしれません・・・
何だかんだ書きましたが、もはや4シーズン目になると、チーム・コールソンがわちゃわちゃやってるだけで見れちゃいますね。
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