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白夜行のYのネタバレレビュー・内容・結末

白夜行(2006年製作のドラマ)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

最後まで、涙が止まらなかった。
苦しくて、愛おしくて、辛い。

主題歌も良く、聞く度に涙が出る。
『君が幸せ掴むように 偽日になり祈ろう』
亮司の生き様はまさにその通りだった。
自分と、自分の父親の犯した罪のために、その僅かな命を懸けて祈り続けた。そのために罪を重ねたのはあまりにも愚かな選択だったけれど、彼にはそれしか選べなかったことが尚更苦しかった。

ドラマを見始めた時は、どうしようもない親の元に生まれてしまった2人の不運に同情し、(武田鉄矢に負けるな!頑張って逃げ切れ!子供は悪くないんだから!)と思う部分があったが、
1つの罪を隠すために何重にも嘘と罪を重ね、どんどん酷い状況になってしまう2人に対して、
(どうか、武田鉄矢にちゃんと捕まってくれ。1番彼らを理解し愛してくれたのは、親でも親戚でもない笹垣だから)とまで思うようになった。

亮司が書いていた小説では、幽霊は自分を見つけた男を殺したという。亮司も自分を見つけた笹垣に対し同じ選択をしたけど、笹垣の捜査ノートに記されていた自分たちの軌跡を見て、唯一自分を認識してくれていたことを亮司は心から嬉しく思ったのではないだろうか。幽霊になることしか選べなかった不器用でどうしようもない自分を、誰よりも真っ直ぐ見つめてくれたのは笹垣だったから。

また、図書館の谷口さんは言ってた。
「悪いのは親じゃないですか!気付かなかった私じゃないですか!
あの子達、たった11歳で...子供で...。大人たちの犠牲じゃないですか...」
この物語において、雪穂と亮司の本当の意味での親は、谷口さんと笹垣だったんじゃないかなって。子供を子供らしく居させてくれる親だったら、きっと亮司も雪穂も罪を重ねずに生きられたんじゃないだろうか。

そしてラストシーン。
冒頭のシーンが頭にあったから、ストーリーを見進める中で、(もしかして雪穂は亮司を見捨てて見殺しにして生きて行くのか...)と思ってずっと不安だった。
でも血を流しながら地面に這いつくばって、
指をさして『行って』と言った亮司は、
幼かったあの日、雪穂が街を出る時に駅のホームで指をさして『行って』と言ってくれたのをそのままお返ししたんだと、ラストシーンまで見て気付いた。
あれは亮司なりの最後の贖罪だったんだなと、気付いた瞬間涙が止まらなかった。


このドラマは脚本も演出も音楽も本当に良かったけれど、俳優さんたちが本当に良かった。
武田鉄矢の出ているドラマは1つも見たことがなくて、モノマネ芸人が金八先生の真似している所くらいしか見たことがなかったけど、彼は素晴らしい俳優なんだなとこの作品で知ることが出来て良かった。

そして言うまでもなく、綾瀬はるかと山田孝之は本当に良かった。葛藤しながらももがき苦しみ生き抜いていく姿を、ものすごく繊細に演じられていた。

また亮司と雪穂の幼少期を演じた子役の泉澤祐希さんと福田麻由子さんも、本当にすごい演技をしていて、心をグッと掴まれた。


凄すぎて心が苦しくなってしまうけど、何度でも見返したい素晴らしい作品でした。
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