かずぽん

刑事ヴァランダー シーズン2のかずぽんのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

【ヴァランダーの内面を描くシリーズ】


シーズン1では、ヴァランダーの別居中の妻が新しいパートナーを見つけ、実家の父はアルツハイマー型の認知症を患っていることが分った。
ヴァランダーは、刑事としては猪突猛進タイプだが、家族のことに関しては正面から向き合うことが出来ない逃げ腰タイプだった。
このシーズン2では、ヴァランダーが刑事を辞めようと決心するに至るほどの苦悩と悲しみに苛まれる様子が描かれる。そのような状況に陥った理由は二つあった。
一つは、犯人を射殺してしまったことが理由だった。相手が先にライフルを向けてヴァランダーに発砲したのだったが、ヴァランダーが撃った時、相手はライフルに弾を充填しようとしていたのだ。正当防衛を認められたが、ヴァランダーは相手の銃に弾が入ってなかったのに撃ち殺してしまったことにショックを受けたのだった。
もう一つは、父親の死だった。ヴァランダー自身、父の死がこれほど自分を打ちのめしてしまうとは、想像もしていなかったようだ。何故か長い間、父と向き合おうとせず避けていたことを後悔して子どもの様に泣いた。そして、事件で知り合った女性に夜更けに電話した。相手は電話に出なかったが、本シリーズ最終話で二人は心を通わせたようにみえる。
ヴァランダーの偏狭さや孤独が色濃く描かれるので、彼がいつ、どのように立ち直ることが出来るのか?と心配しながらの鑑賞だった。
彼を引き籠りから引きずり出したのは、またしても友人の死がきっかけだった。友人からの依頼を断った数日後、その友人は死んでしまった。前シーズンにおいても同じように相談を無視した後に死なれてしまい、ヴァランダーは更に後悔するのだ。

※ヴァランダーの部下のマーティンソン(トム・ヒドルストン)は有能なのに、ヴァランダーは若い彼を生意気に感じているのか、直ぐに怒鳴りつける。するとマーティンソンの方もあからさまに嫌な顔をする。中々、根性があると思う。(笑)

シーズン2の内容は次のとおり。

【第1話…殺人者の顔】
ある夜、農家に強盗が入る。老夫婦のうち夫は死亡し、妻はまだ息があった。ヴァランダーは犯人の特徴を聞こうとするが妻は虫の息で、ヴァランダーは聞き取ることが出来なかった。ただ「外国人」と言ったようにも聞こえた。しかし、不確実なので公表しない筈だったのだが、誰かが情報を漏らしたため魔女狩りが始まる。外国人が襲撃され殺される事件が起きてしまったのだった。
亡くなった夫を調べると、彼の意外な一面が発覚し・・・(前述のヴァランダーの正当防衛の事件は、この話のラスト。)

【第2話…笑う男】
海辺の町に引き籠っていたヴァランダーを訪ねて友人のステンがやって来る。彼の父グスタフが自動車事故で死亡したが事故には不審な点があり、納得できないので再度調査してくれないかとの依頼だった。しばらく職を離れていたヴァランダーは断ったが気が変わりステンを訪ねると、彼は前日に死亡していた。どうも父親のグスタフの死と関連があるようだった。
グスタフは、ある大富豪の弁護士をしていたが、ある秘密を知ってしまったようだった。浮かび上がって来たのは、アフリカの子供の救済の裏に隠されたおぞましい秘密だった。

【第3話…5番目の女】
バードウォッチャーのエリクソンが、自宅近くの水辺で遺体となって発見される。また、失踪していた花屋のオーナー、ルーンフェルトも無残な殺され方で見つかった。その次は、ジョギング中に襲われ、生きたまま水に沈められた男の遺体だった。この3人に共通点はあるのか?
花屋の店員の女性ヴァンニャは、かつてルーンフェルトの愛人で、彼に虐待されていたことが分る。これがヒントになって、遺体の3人の共通点が“虐待”であると的を絞っていくと、犯人像が浮かび上がって来た。それは3人の男に恨みを持つ人物だった。
この事件の結末もかなり衝撃的だった。またしてもヴァランダーは立ち直れないのではないかと思われたが、意外にも彼の支えとなったのは画家だったヴァランダーの父が描いた絵と、ヴァンニャだったのだ。この回のラストでは父の墓に、ずっと外せないでいた結婚指輪が置かれていた。
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