課長とヒロシ

THE MENTALIST/メンタリスト<ファイナル・シーズン>の課長とヒロシのレビュー・感想・評価

4.8
課長のメンタリスト日記 season7

課長だ。150話近くあるメンタリストも遂にファイナルシーズン。親愛なるもムカつくジェーンとの付き合いもこれで最後だ。主要なエピソードはseason6で語り尽くされてるので、今seasonはエピローグ譚的な内容になっている。しかしそれぞれの話は総じてレベルが高く、また積極的に新しい脚本家や監督を登用しているので、メンタリストの違った魅力を再発見できると思う。肩の力を抜いて、今までの思い出に浸りながら、長かったジェーンの旅の終わりを見届けてほしい。


Ep1 どこまでも続く青い空
★3.6
脚本 トム・ゼンジョージー
監督 クリス・ロング

ボーリング場に潜入していた捜査官が殺される。彼は銃の密売組織の捜査をしていた。捜査官は密売組織に殺されたわけではなく動機は不明、また殺人の捜査を進めるためには潜入していた事実を明かさないといけないが、それは密売組織の捜査を諦めることだった。ジェーンは相反する2つの課題に挑戦する。

「約束するよ!近いうちに誕生日がくる」

いきなりフィッシャーが異動によりいなくなり、後任として軍隊学校出身のベガがやってくる。フィッシャーの扱いは雑で残念だが、新たなキャラクターが物語にどんな彩りを加えるのか楽しみだ。


Ep2 灰色の鉄格子のホテル
★3.8
脚本 ジョーダン・ハーパー
監督 ビル・イーグルス

自動車窃盗団のボスの恋人が逮捕される。アボットは釈放を条件にアジトの場所を教えるよう取引を持ちかけるが拒否される。そこでリズボンが囚人として接触して情報を聞き出すことに。甲斐甲斐しく世話を焼くジェーンが可愛い。

「死ぬまで待ってるよ!」
「やめて(笑)」

全編通じてジェーンとリズボンの新しい絆が見られる作品。お互いを思いやり、心が通じあっている感じが美しい。


Ep3 オレンジブロッサム・アイス
★4.0
脚本 トム・ゼンジョージー
監督 クリス・ロング

ベイルートにいる武器輸入業者は、テロリストの支援者だった。要心深くパソコンなどの電子機器を使わない彼は、暗号の伝達に記憶力の優れた人間を使っていた。そこでジェーンがおとり捜査官として指名される。リズボンはジェーンとエリカの過去の関係が気にかかる。ベガは尊敬するチョウと仕事をするために嘘をつく。

モリーナ・バッカリン扮する稀代の悪女エリカ・フリンが三たび登場!今回も何か企んでいそうな雰囲気がビンビン伝わってくる

「疑ってくれてるの?ありがとう、楽しくなりそうね。」

舞台はレバノンのベイルートで展開、異国情緒溢れる街でジェーンとリズボンvsエリカの騙し合いが幕をあける。


Ep4 ブラック・マーケット
★3.0
脚本 トム・ドナヒュー
監督 マイケル・ナンキン

宝石強盗で警備員が殺害される。盗まれた宝石は開催されている見本市で売られたものだった。チョウとベガはマーケットで聞き込みを行うが、その最中にまた殺人が起きる。アボットは妻の商務次官への昇進がほぼ決まるが、自分がその足かせになることを危惧する。ベガはチョウの信頼を得られずに悩む。今回はジェーンは風邪のため思うように活躍できない。誰がジェーンの代わりを勤めるのか、ジェーンの代役を勤めた人物の奮闘ぶりも見所だ。

Ep5 シルバーのブリーフケース
★3.8
脚本 ジョーダン・ハーパー
監督 サイモン・ベイカー

FBI本部に来た陸軍大佐を初見で怪しいと感じるジェーン。彼の妻は8ヶ月前に殺され、犯人は逮捕されていた。

「彼の勘は当たります」byリズボン

全く根拠のない見立てを渋々信じ、再捜査を許可するアボット。しかし相手は軍の大物、発覚したら即時に捜査終了との条件をつける。シリーズ全体で5作目にして恐らく最後になるだろうサイモン・ベイカー監督作品。この作品のラストシーンに代表されるような、「余韻」を大切にする彼の演出はキレがあってスタイリッシュな最近のドラマの演出にあって独特のコクを産み出している。クライマックスのジェーンらしい駆け引きもGOOD!

「あれの中身って気になりません?」


Ep6 グリーンライト
★3.8
脚本 アレックス・ベルガー
監督 ゲイリー・マクロード

麻薬捜査局(DFA)の強制捜査は空振りに終わる。その後チームの指揮官が遺体で発見された。ジェーンは捜査協力に来たDFAのトップ、ピーターソンとアボットの関係に不信感を抱く。彼はアボットが昔所属したメキシコ国境捜査局、通称「リオ・ブラボー」において彼の上司だった。弱味を握られているとジェーンに見抜かれたアボットはある告白をする。ジェーンはアボットと自分の過去を重ね合わせる。

「そうだね。君はいいことをした。」


Ep7 小さな黄色い家
★3.7
脚本 マリーサ・ベングジン
監督 エドワード・オルネラス

リズボンの弟、ジミーに逮捕状が出る。彼は殺人事件の容疑者として指名手配されていた。リズボンは足取りを追ってジェーンとともに、久しぶりに故郷のシカゴに帰る。シカゴでもう一人の弟、スタンと会ったリズボンは、手がかりを基にジミーを見つけだすが、彼とそしてスタンも大きな問題を抱えていることがわかる。season4「カーマインの行方」のトミーに続き、リズボンの3人の弟が遂に全員登場する。家族の絆が色濃く描かれた作品。親代わりとなって育てた弟に憎まれていると悩むリズボンにジェーンは優しく声をかける。


Ep8 白煙の向こう
★4.0
脚本 エリン・レーン・ドノバン
監督 ロッド・ホルコム

裁判所に向かう証人と捜査官が狙撃され殺害される。原告はマフィアの一員であり、殺人事件で起訴されていた。この事件を鍵にファミリーの壊滅を目指すアボットは、残る最後の証人リリーの警備を強化すると共に、ファミリーの雇った殺し屋の特定を急ぐが、常に一歩先を行かれてしまう。ジェーンは大胆にも証人自身を使ったおとり捜査の作戦をたてる。全編通して凄腕の殺し屋ライドルとの戦いが焦点になる。白煙立ち込めるホテル内での駆け引きがスリリングだ。

「戦う場を賢く選べば、戦う前に勝利する」


Ep9 鉛色の弾丸
★4.3
脚本 トム・ドナヒュー
監督 トム・スナイダー

ピーターソンは遂にアボットを破滅させるための行動を起こす。ジェーンはアボットを助けるために古い友人に協力を仰ぐ。season6の前半は悪役だったアボットだが、すっかりいいボスになり、彼を助けるために皆が一丸となる。

「法律を七つほど破ることになる」
「たった七つですか?」

チームの絆が全面に出た作品。チームの一人一人に見せ場があり、見ごたえのある作品に仕上がっている。

「あなたがジェーンね!主人が言ってた。悪巧みの天才だって!」
「へえ、、。誉め言葉を聞くつもりはなかったんだけど。他に何か言ってた?」


Ep10 黄金のままではいられない
★4.0
脚本 アレックス・ベルガー
監督 ポウル・A・カウフマン

現金輸送車を襲った強盗犯は兄弟とその仲間の3人組だとジェーンは看破する。捜査に向かったチョウとベガは、容疑者らしき影を見つける。危険な捜査を通じて死の予兆を感じたジェーンは、リズボンを失う恐怖に苦しめられる。大切な人を失った喪失感が全編を通して色濃く描かれる。そしてジェーンはある決断を下す。

Ep11 赤土の秘密
★4.1
脚本 ジョーダン・ハーパー&
   マリーサ・ベングジン
監督 ニーナ・ロペス・コラード

深夜にカップルが襲われた事件を捜査するチョウは、人手不足に悩む。ジェーンは姿を消してからリズボンの連絡にも応えない。霊能力者ガブリエルの情報により、事件はやがて10人以上の連続殺人へとスケールアップする。警察権力の乱用により連れ戻されたジェーンはガブリエルと面談し、謎を解こうとするが、それは新たな殺人への序曲だった。

「ウソだ。君には見えない」
「ああ、見えないよ。君にもね」


Ep12 茶色いカーペット
★4.0
脚本 トム・ゼンジョージー
監督 ゲイリー・マクロード

連続殺人犯は更に凶行を続ける。ガブリエルの告白によりパニックとなるオースティンの街。ジェーンは犯行の動機を推理する。

「問題は誰を殺したかではなく、何のために殺したかだ」

FBIメンバーとして久しぶりにトークが復帰。かつてseason4で、リズボン復帰のために今のチームを解散するダシに使われたが、それほどジェーンを恨んでない模様。動機の仮説を証明するため、自ら霊能力者としておとり捜査に参加するジェーン。しかし捜査は難航し彼にも危機が訪れる


Ep13 白い蘭
★5.0
脚本 ブルーノ・ヘルラー&
   トム・ゼンジョージー&
   ジョーダン・ハーパー
監督 クリス・ロング

自らの居場所を見つけ、未来に向かって進みだそうとするジェーンとリズボン。そしてFBIチームのメンバーにも1つの区切りが訪れる。シリーズ最終回にふさわしく、リズボンの兄弟や、リグスビー、バンペルトなどかつての仲間が集結する。幸せに包まれたジェーンとリズボン。しかし時を同じくして最後の脅威が迫っていた。

「ほらね、私に正直に話した方がうまくいく」
「誰か他にハグしたい人いる?」

全ての物語が終わり、そして新たな物語が始まる。長く続いたシリーズだが、ラストは湿っぽくなく、笑顔に包まれた、新しいスタートを感じさせるシーンだった。これまで悲劇に包まれ、復讐のために過ごしたジェーンの人生が、これからは穏やかな幸せに満ちたものであることを祈りながら、エンドロールを観終わった。
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