Train

Marvel ルーク・ケイジ シーズン1のTrainのレビュー・感想・評価

3.8
社会的弱者の目線から描いた社会派アメコミ映画『ジョーカー』以前に制作されていたMCUの異色ドラマ。『ブラックパンサー』が黒人の文化とアイデンティティの物語ならこちらは黒人社会とその闇の物語。ハーレムに潜む犯罪、決めつけによるバイアス、そして警察の黒人への過剰暴力。その角片は随所に散らばっており、ふとした瞬間ヒーロードラマではなくなっていることに気づく。パワーマンことルーク・ケイジは銃弾を跳ね返す鋼の皮膚を持つ。決して何事にも屈しないことのシンボル的なキャラだ。最終話のルークの警察署での聴取の台詞は物語としての言葉ではなく黒人を代表しての「声」なのだろう。

テーマは素晴らしい出来だったのだが物語の構成が非常にマズってた。ルーク、クヨクヨする→立ち上がる→またクヨクヨする→また立ち上がるという繰り返しが序盤の展開で面白い回、然程面白くない回が生まれる原因となってしまった。『デアデビル』『ジェシカ・ジョーンズ』よりも話の推進力が弱く、キャラの深堀りや心理描写も先程挙げた前2作ほどできてないのでそういう要素が好みな自分にとっては満足度はやや低め。盛り上がったのはラスト3話から。あとダイアモンドバック初登場時に自分はルークとの腹違いの兄であることを告白する場面があるが今までそんなこと匂わしても無かったのにいきなりそんなこと言われても納得できない。

能力が能力なのでアクションシーンはめちゃくちゃ派手ではないが別に気にならない。シャマランのイーストレイル177三部作のアクションシーンよりはアクションしてる。

カリスマのコットンマウスやクレイジーなダイアモンドバックなど割と悪役は魅力的でカッコよかった。音楽も良き。

本当なら次は『アイアン・フィスト』なんだが時間を無駄にしたくないのでパス。いよいよクロスオーバーの『ディフェンダーズ』に入るわけだがここ最近マーベルドラマばっかりだったので暫く休憩。シーズン1見てから5ヶ月立ってるGOTもあるしね…

余談

MCU版新生ブレイド役のマハーシャラ・アリが実は既にこのドラマの悪役でMCU入りしていたという事実。これからも映画とネフリのマーベルドラマとがクロスオーバーすることはないんでしょうけど、でもここらへんやっぱ気になるよなぁ...最近の『ワンダヴィジョン』でメタ的なキャラは出てきたけど、それとこれとは話が違う。配役考え直せとは言わんが...そういえば新生ブレイドはやっぱしR指定にはならんのだろうか?映画の出来はともかくウェズリー・スナイプス版はバイオレントで世界観的には合ってたし。
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