きみどり

ザ・クラウン シーズン5のきみどりのレビュー・感想・評価

ザ・クラウン シーズン5(2022年製作のドラマ)
4.0
あー疲れた。イッキ見一周目はとりあえず終了。

家族が増える関係者も増えるで、お話がとっ散らかってきた感が否めない(それでもまとめる力技に感服)。
個人的には女王のキャスティングに最後まで馴染めなかった…。シーズン3でオリヴィア・コールマンに交替したときはあまり抵抗なかったんだけどな。
キャストといえば、ジョニー・リー・ミラーがメージャー首相ですよ奥さん! まさかのシックボーイがいちばんのハマり役だったかも。

残念だったのは、歴史イベントの挿話が激減したこと。わたしがこのシリーズをこよなく愛する要素が、「イギリスから見た現代史エピソード」なんだと、改めて実感した。

過去シリーズで描かれてきたのは植民地の独立、戦争犯罪、スエズ運河の権利喪失、炭鉱災害に通貨切り下げ、IRAのテロ、炭鉱閉鎖。国土も国力もどんどん小さくなってゆく大英帝国。そしていつの時代も、どの組織でも、変化を好まない者と先へ進もうとする力がぶつかりあう。

ともすると目の前のことばかり見て不安になったり絶望したりして「日本オワタ」になりがちなんだけど、このドラマ見てるといつの時代もどこの国も「オワタ」と言いながら庶民の暮らしは終わらないと気づく。
しょせん民草は、終わろうと始まろうと自分の力が及ぶ範囲で粛々と生きていくしかないんだよね。でもこの諦念は悪いものではなくて、無駄に悩むのはやめとこ、と思えるのでちょっと心地よい。

…のですが、今シーズンは致し方ないとはいえ皇太子夫妻の離婚劇を筆頭に、家族内の揉め事に終始してた感じです。デビッキ様がゴリっゴリに美しかったのでいいんだけど。でもー。

ただモハメド・アルファイド(ドディの父)の、英国や白人への歪んだ憧れを描いたエピソードは白眉でした。もちろんかなりフィクションの色付けもあるだろうけど、これがのちの悲劇につながるかと思うと…。

ああしかし。ついに次回はファイナルシーズンかと思うと感無量です。壮大に広げた風呂敷をどう畳むのでしょう。楽しみ(^^)



↓ここから別件
字幕製作が迷走してる?
正誤はともかく「チャールズ皇太子」が日本でいちばん知られた呼称だと思うんですが、今シリーズの字幕では「皇太子、ウェールズ太公、コーンウォール公爵」が混在してて、何回か脳内に???が飛んだ。字幕は文字数と時間に制限があるから、オリジナルに100%忠実であることは求められないと思う。
わたしが分かる範囲でこれだから、多分ほかにもいっぱいある気がする。
Netflixの他の作品でも、ときどき字幕が気になることがあるんよな…。
きみどり

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