「そして誰もいなくなった」を何となく知っている人やほとんど知らない人には緊迫感があって次にどうなっていくのかハラハラしながらスリルを持って観られる作品だ。各登場人物の回想シーンや殺した人の幻影がちらつくあたりは、映像作品ならではで、恐ろしさを増しているし、ちょっとした物音や各登場人物の不可解な言動で、全員がお互いに疑心暗鬼に陥る様子などがうまく描かれている。そういった視聴覚的要素と演技、映し方によって単純なサスペンスよりかなり「怖い」という意味で「スリリング」な作品となっていると思う。もちろん、コアなアガサクリスティファンや映画専門家の方には深みが足りない１作かもしれない。だが、エンターテイメントとして観るには、さすがBBCドラマといえるだろう。
