IPPO

SWEET SEASONのIPPOのレビュー・感想・評価

SWEET SEASON(1998年製作のドラマ)
4.3
松嶋菜々子に浸るドラマ鑑賞。『氷の世界』に続いて本作を25年!ぶりに再鑑賞。
放送当時、中学生だったのだけど今の年齢で見てみるととても高品質な作品で満足度が高い。

"不倫“をテーマによくここまで全てのキャストに光を当てる脚本が作れたなと感心する。近年の日本のドラマに乱発するペラい恋模様やアイドル俳優に頼らずゴリゴリの重ためなヒューマンドラマで見応え充分。

ベテラン勢の中でも埋もれない松嶋菜々子の存在感よ。てか、この松嶋菜々子の役どころ、相当難しかったはず。
幼い頃不倫していた父を許すことが出来ず、父をかばって事故死した兄のことを受け入れらず、家族の中で孤独を抱えながら大人になってしまった。不倫を嫌悪しながらも自身が既婚者の男性との恋愛にのめり込んでいってしまう…

いやぁお見事。
てか父親役の蟹江敬三の演技力が凄過ぎてひたすら蟹江敬三に釘付け。子どもの頃この人って「悪い人、嫌な人」ってイメージしか無かったけど今なら分かる。物凄く演技に厚みのある良い役者。一人だけ別次元だった。ドラマというかもはや時代劇というか映画的というか…逝去されてからそれに気付き残念。

さて、本作は不倫が題材。今じゃ不倫ネタは芸能界をはじめゴロゴロ転がってる。けど90年代はまだ不倫=誰でもやってるから平気 って空気は無かったんだろうね。する方もされた方も、その家族も同僚もみんな関係性が狂ってしまう悲劇、といったところか。

本作が素晴らしいのは、不倫を登場人物一人一人違ったポジションで解釈し、丁寧に交差させていること、不倫を美化していないこと。そして不倫も一つの愛の形だとシビアな面からも表現していること。

配偶者の不倫を経験した方
(今で言うサレ妻)
市毛良枝、野際陽子、とよた真帆
彼女らのそれぞれ異なる価値観がまた良い。

不倫に溺れてしまう方
松嶋菜々子、蟹江敬三

そして↑の2人。自身の不倫によって人を傷付けながらも深い何かを掴み取ったかのよう。中盤までは対立していた父娘がクライマックスの軸となる。第9話の主役なんてほとんど蟹江敬三だもん。

矢田亜希子の明らかにヘタな演技が、「家族の中で唯一能天気な末っ子」と言う役回りに見事にハマっているのも良かった。正直この矢田亜希子の役が無いと相当重いドラマになってしまったはず。


妊娠、事故、記憶喪失、隠し子etc韓ドラも顔負けの展開に若干引いたけど、キャストの皆さんの素晴らしい演技となるほどなるほどなラストの展開で大満足。

さてさて98年『SWEET SEASON』、99年『氷の世界』と来たら次はやっぱり2000年『やまとなでしこ』かな。実は全く見た事ない。世の中松嶋菜々子フィーバーだった当時、彼女に特に惹かれなかったんだよねぇ笑
IPPO

IPPO