おにおに

憲法はまだかのおにおにのレビュー・感想・評価

憲法はまだか(1996年製作のドラマ)
5.0
1996年NHKスペシャル。
NHKは良質のドラマを多数制作していてヘタな映画よりも好きなのですが、その中でもこれは最高傑作の部類に入る好きなドラマ。
「独眼竜政宗」「葵徳川三代」など重厚で面白い脚本を書くことで定評の安心と信頼のジェームス三木。

日本国憲法制定までのいきさつを巡って政治家、GHQ、憲法学者たちが繰り広げた舞台裏のかけひきを再現したドラマです。
全身包帯で巻かれた人間を象徴的に登場させる演出が秀逸。

第一部「象徴天皇」、第二部「戦争放棄」の二部構成。

主人公の松本烝治を津川雅彦が好演。
ほか、近衛文麿(江守徹)、幣原喜重郎(神山繁)、吉田茂(鈴木瑞穂)など、キャストも実力派がそろった。

濃密でドラマチックなシーンが連続。45分×2本なのだが、あっという間に観終わってしまう。

印象に残るシーンをいくつか。

煮え切らない政府の憲法案に業を煮やし、GHQが「憲法草案」を作ってきたと松本、吉田に押し付ける場面。

吉田「おおごとですなこりゃ」
松本「なんだこのsymbolってのは?」
吉田「象徴・・ですかな」
松本「象徴・・!天皇は日本の・・象徴!」


9条の芦田修正に関する極東委員会のつっこみ。GHQとのやりとりなので英語です。

「中国代表はさらにこう言っている
「もし日本が軍隊を持っても―
「日本はそれを軍隊とはいわず 戦争をしても―
「戦争とは言わぬだろう

・・実に鋭い指摘


マッカーサーが憲法施行後、「もういちど憲法を改正する機会を与えよう」という提案に対する吉田の言葉

「返事はどうされますか?
吉田「おおきなお世話だ
「は?
吉田「おおきなお世話だ、と書きなさい


こうしてできあがった日本国憲法の一文一文を改めて読むと、それはもう感動的だ。

エンドロールの音楽と戦後直後のモノクロの写真の連続。これがまた泣ける。
こうして大日本帝国は日本国となり、日本人は戦後復興の道を歩みはじめたんですな

NHKオンデマンドにはなかなか出てきませんが、出てきたら是非とも観てほしい、数あるNHKのドラマのなかでもイチオシのドラマです。
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