観終わった後、この作品は「ファミリー」ごとの生き方の違いを描いた作品だったのかなぁと感じています。
ただそのファミリーといってもニュアンスに違いがあり、郊外からオザークへ越してきたバード一家はまさに「家族」を第一にしようとします。この「家族」はみんなでニコニコと夕食を囲み、個人個人を思いやりながらも、父は息子の、母は娘の模範になろうとする伝統的な家族像です。
しかし、このバード一家を待ち受ける「ファミリー」というのは、どちらかというと「〇〇家(け)」として、いわばその生き方がすでに遺伝的に織り込まれているような人たち(クセ者)ばかりです。破滅を指向するワイアット家、金と権力で成り立っているナバロ家、そしてよそ者を力で排除することができるダーリーン家・・・。こういった人たちとの対峙を通し、バード家もまた「進化」を余儀なくされていくというのがなんとも面白い展開でした。
そして大団円となったシーズン4のラスト。バード家はファミリーとして更なる高み(低み?)に到達します。その結末は当初望んだ「家族」とはずいぶん離れた姿ですが、「一家」の絆としては最高に高まっていることを示すものでもあります。こんな深みのあるエンディングまで飽きさせずに観させるドラマがどれぐらいあるでしょうか。
日本では流行しませんでしたが、文句なしに名ドラマのラインナップに入るシリーズだと感じています。作りに長けた大人たちが手塩を込めて作った円熟味のある名シリーズでした。