たわらさん

ゲーム・オブ・スローンズ 第四章:戦乱の嵐-後編-のたわらさんのレビュー・感想・評価

4.9
✔️初見の感想

戦が落ち着いて各国の準備期間や内部抗争が描かれた本シーズン。シーズン1を彷彿とさせる決闘裁判の一連、2-9のブラックウォーターの戦いに続く一話丸々使った黒の城の死闘と見所は多い。偽りの居場所から脱却して決意を固めたアリアとサンサ、ティリオンの動向が気になるところ。

ジョフリーは作品を通して成長していくものだと思っていたら、微塵も成長せずに退場とは視聴前には想像していませんでした。悪人は悪人のまま散る、家族愛も垣間見えない、救済もない無常さが「戦争を中心とする社会システム」を見事に描いていると思います。劇的な死に方をしないのもゲーム・オブ・スローンズらしいですね。


✔️再視聴後の感想

前シーズンにてスターク家の崩壊を第一幕とするなら、本シーズンでは残されたスタークの子供たちの成長が窺える。アリアはハウンドから非道さと殺傷スキル、サンサはリトルフィンガーから話術を身につけて七王国での生存戦略を着実に磨いていきます。言うならば、正道や真面目であることはスタークの両親や兄君のように生き残れないのが七王国の残酷な真実であるのかもしれません。

同時にシーズン2から積み重ねてきたティリオンとラニスター家との確執も一旦決着。蓄積してきた不当な扱いをシェイとの一件でプツッと切れてしまったティリオンの爆発する4-6は圧巻。憎悪と愛は表裏一体であるのがシーンとしてよく表れているのが多く、イグリットからジョン・スノウ、ティリオンからシェイへの感情はもの悲しい。

ジェイミーが帰還してからキングズ・ランディングでの各々とのやり取りが面白い。軋轢がある関係性が多い中で各登場人物との中立な立場であるのがジェイミーであり、腕が斬られてから誠実な騎士になってしまって…。憎きジョフリー王であれど、彼の死に際へと即座に近寄るサーセイとジェイミーが良い。

何かとラニスター政権の裏で暗躍するタイレル家とピーター・ベイリッシュも必見。タイウィンの掌で動かされていた七王国ですが、サンサの消息と子供たちの反発からタイウィン政権終幕の予兆はあったのかもしれません。北の切符を手にしたピーターですが、シーズン2の台詞を想起させますね。

Chaos isn’t a pit.
「混乱は落ちていく穴じゃない。」
Chaos is a ladder.
「混乱ははしごだ。」

語り出したら止まらないシーズンであり、ラムジーの成り上がりやハウンドvsブライエニーなど見所が多いですね。
たわらさん

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