茶一郎

ザ・ナイト・オブ/ナイト・オブ・キリング 失われた記憶の茶一郎のレビュー・感想・評価

4.8
【短】『シンドラーのリスト』、『ミッション:インポッシブル』、リドリー・スコット監督の諸作品など、フィルモグラフィを眺めるだけで口があんぐり開いてしまう脚本家の名手・スティーヴン・ザイリアンが手掛けたテレビシリーズ。
朝起きたら隣に女性の惨殺死体が。ある夜に若い白人女性と出会ったパキスタン系の好青年が、記憶に無い殺人事件の犯人として逮捕されてしまう。
サスペンス、ノワール、悪漢成長物語、法廷劇、物語を掴み切れたと思ったら、すぐに指の間をすり抜け全く別のジャンルの物語になってしまう、そんな豊かな体験ができる重層的な作品です。
犯罪に巻き込まれてしまう主人公を演じた『ローグ・ワン』の元帝国軍ヘタレパイロットでお馴染みのリズ・アーメッドと、彼を助ける弁護士扮するジョン・タトゥーロがとにかく素晴らしい。ジョン・タトゥーロというキャスティングは、どうしても同様の設定「朝起きたら隣に女性の惨殺死体が」があるジョン・タトゥーロの出世先『バートン・フィンク』を想起させます。
劇中でもO・J・シンプソン事件への言及がありますが、昨年の『アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件』の法廷劇の決着をまるで透かして行くような幕切れも見事。
茶一郎

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