骨太な作品。
どこにでもある普通の日常。
他愛のない一人一人の行動。
その一つ一つはいつもの生活なのだけど、いろんなものが積み重なった時、全く罪のない無垢な命を奪い去る。
その衝撃たるや。
そして、それは、いつ自分の身に降りかかってもおかしくない。
そんなあやふやさの中で、僕らは毎日を生きている。
見える狂気ではなく、行動の積み重ねで生まれる悲劇。
尊い命が奪われた責任の所在はどこにあるのか。
誰かにあると言えば誰しもにあるし、直接的な原因がどこかと言われれば、どこにもない、となる。
これは絶妙だ。絶妙な切り口。
どうしようもない、やり場のない怒り。
全てを背負うのは親だけ。
悲劇的な結果が招かなければ責任は発生しないが、今この時、どの人にも迷惑のかからないことをしているか?と問われれば、100%YESとは言えないんじゃないかと思わされる。
そんなラストに苦笑いをしてしまう自分がいる。
この作品を通して、皆さんはどう思うでしょうか。
原作者、貫井徳郎氏の他の作品を読みたいと思わせる秀作。