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アガサ・クリスティー 無実はさいなむのharuのレビュー・感想・評価

4.0
家族が一つになるために。

1954年クリスマスイブ、資産家レイチェル・アーガイルが自宅にて殺された。凶器に付着していた指紋から、長男ジャックが逮捕されるが、彼はそのまま獄死してしまう。18ヶ月後、平穏を取り戻しつつあったアーガイル家に、アーサー・カルガリーと名乗る男が現れる。彼はジャックのアリバイを証言できると言うが…

アガサ・クリスティ「無実はさいなむ」のドラマ化。原作とは犯人が違うため展開も少々異なるようですが、大変おもしろかったです。「ねじれた家」同様、セレブ一家のドロドロすぎる人間関係をおなかいっぱい楽しめます。
殺されたレイチェル・アーガイルには実子はおらず、5人の養子がいます。一見心優しき慈善家のようですが、彼女は完璧主義で子供たちへの躾が大変厳しかった。長男ジャックはそんな母親に常に反抗し、次男ミッキーは家を出ることで家族と距離を置いていますが、姉妹たちは母を恐れて逃げることができない。特に長女メアリーは母の愛を渇望し、母の心無い言葉に何度も傷つけられる。次女ティナは幼い頃から母の期待を一心に受け続けてきたせいか、母に逆らえず、三女へスターは過去に家を出たことがあるものの、レイチェルに連れ戻されていた。
回想シーンでは、レイチェルからは子供たちへの愛情が感じられず、正直憎まれても仕方ないように見える。しかし最終話で彼女は確かに子供たちを愛していたことがわかります。(だいぶズレてるけど)「あなたたちを大事に思っている」と、1回でもはっきり言ってあげていたら、家族は一つになっていたかもしれない。
しかしラスト、全く別の形で家族は一つになっておりました。怖すぎ…
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