珊瑚

獣になれない私たちの珊瑚のネタバレレビュー・内容・結末

獣になれない私たち(2018年製作のドラマ)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

主人公の晶は、いつも笑顔で気が利いて、周りの人から頼られるタイプ。会社ではワンマン社長からガンガン繰り出される矢継ぎ早な要望にも卒なく応えるし、彼氏とも上手く行っている。

そんな雰囲気で始まったものの、見ていくうちに、上手く回っていると思われていたものごとが、実は相当晶1人の忍耐で成り立っていることが分かってくる。

特に会社はこりゃーブラック企業だな、とすぐ判定できるレベル。田中圭演じる彼氏もどうなんだ...怪しい感じ。

ややダウナーな雰囲気で始まって、だんだんと悪い環境を変えて行くドラマになるんだろうと思わせた初回の終わり方から、これは晶(と周りの人々)が、自由に生きられないこれまでの生き方を変えて、獣になっていく、そんな壮快で痛快なドラマになるに違いない。と思った。

ところが、どっこい。最後まで見ても、晶も恒星も結局獣にはなれない。というか、正確には獣になったり、ならなかったりしながら生きていく、ということらしい。
好きなように生きられない、多くの日本の社会人にとって、単純な気持ち良さ、痛快さを追ったドラマはこれまでに沢山あったけれど、これはそうじゃないんだな、と思った。現実は圧倒的にこうだ。

最終回で、恒星は不正をきっぱり断って会計士としての生命を絶たれるし、晶は奮闘するも変わらない会社に見切りをつけて、仕事を退職する。無職が2人。

それでも、これで良かったんだ!いや、これしか無い!と強く思える展開だった。
この2人が今後恋人関係になるかどうかはあまり気にならない。
それよりも、自分の人生を取り戻した2人がこれからもお互いを良き理解者として、ビールを飲み合う仲であって欲しいと思う。
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